個人再生をするのに費用はどのくらいかかる?安くするコツなどを解説

住宅ローンで住宅を購入した人が債務整理をする場合や、自己破産をすると職業制限がかかる方の債務整理の方法としてよく利用される個人再生。
裁判所を使う手続きであることから、どうしても気になるのが、いくらくらいの費用がかかるものなのか?ということではないでしょうか。
そこでこのページでは、個人再生にかかる費用と、個人再生にかかる費用を安くするためのコツをお伝えします。

目次

個人再生とは

まず、個人再生とはどのような手続きかを確認しましょう。

個人再生とは

個人再生とは、裁判所に申し立てを行って、借金を減らしてもらった上で、減らしてもらった借金を分割して払っていく債務整理の方法の一つです。
民事再生法という法律において、個人が利用することを想定して規定されている13章「小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則」に基づくため、個人再生と呼ばれます。

個人再生の特徴

債務整理には他に、債権者と交渉をして元金を分割して支払っていく任意整理と、個人再生と同じように裁判所に申し立てをして借金を免責してもらう自己破産があります。
個人再生は、裁判所に申し立てをして借金を法律の規定に基づいて減額してもらう点では自己破産と共通しており、分割して返済していく点では任意整理と共通しています。
そのため、中間的な手続きであるという特徴があるといえます。
ただ、個人再生の最も特徴的な点は、住宅資金特別条項を利用して住宅ローンで購入した住宅を維持しながら債務整理ができる点と、自己破産で資格制限となる人でも資格制限なしに債務整理ができるという特徴があります。
そのため、元金は支払う必要がある任意整理では返済ができないものの、自己破産では住宅を失う・職業制限で職業を失う、という場合に利用するメリットがあります。

個人再生の手続きにかかる費用

個人再生の手続きにかかる費用は次の通りです。

申立手数料

個人再生は裁判所を利用する手続きなので、申し立てをするのに手数料がかかります。
申立手数料は10,000円で、納付は申立書に収入印紙を貼付する形で行います。

予納郵券

申立手数料のほかに、裁判所が郵送に使うための郵券(切手)を納める必要があります。
予納郵券については裁判所によって運用が異なり、概ね2,000円~4,000円前後です。
東京地方裁判所に個人再生を申し立てる場合は、2,000円分(100円×5、84円×16枚、10円×14枚、2円×3枚、1円×10枚)を納付します。

官報公告費用

個人再生は官報という国が発行する機関紙で公告がされます。
そのための費用を納める必要があり、裁判所によって14,000円前後の納付が必要です(東京地方裁判所に申し立てをする場合は13,744円)。

個人再生委員への報酬

個人再生では、裁判所に代わって手続きをリードする役割を担う個人再生委員が選任されます。
個人再生委員に対する報酬が必要で、裁判所や申立てを本人がするか弁護士に依頼して行うかによって、15万円~25万円程度が必要となります。

その他

その他の費用として、申立て書類に添付することが必要な書類の収集のための費用が挙げられます。
例えば、住民票が申立てに必要な家庭裁判所である場合には、住民票を取得する約350円程度が必要となることなどが挙げられます。

個人再生を弁護士・司法書士に依頼するための費用

個人再生については弁護士・司法書士に依頼するのが通常なので、弁護士・司法書士に依頼する費用を確認しましょう。

弁護士・司法書士費用の種類

弁護士・司法書士費用といっても、細かく分けると次のような費用があります。
相談料
着手金
成功報酬
その他の費用
一つづつ順番に確認しましょう。

相談料

弁護士・司法書士に債務整理を依頼する際には、まず相談を行います。
弁護士・司法書士のような国家資格を保有している人に相談を行う場合には、30分5,000円が相場となる相談料を支払うのが通常です。
しかし、市区町村の無料相談や法テラスのような、無料で弁護士に相談できる制度を利用すれば、相談は無料で行うことができます。
なお、個人再生を始めとする債務整理については、お金がない状況でするのが通常なので、債務整理に注力している弁護士・司法書士は通常は無料で相談を受けています。

着手金・成功報酬

弁護士・司法書士に依頼をする場合には着手金を支払います。
また、弁護士・司法書士が依頼されている案件について成功した場合には成功報酬を支払います。
ここでいう「成功」とは、個人再生手続きを完了することをいいます。
着手金・成功報酬については、それぞれ別に請求するところもあれば、あわせて請求することもあります。
例えば着手金として20万円程度、成功報酬として20万円程度の合計40万円程度の報酬を請求することもあれば、最初から基本報酬・報酬などの名目で40万円程度を請求することもあります。
概ね合計で30万円~50万円程度の報酬の支払いが相場となります。

その他費用

弁護士に対して支払う費用としてその他には次のような必要があります。
事務手数料:電話や郵送・弁護士が裁判所に向かうための交通費など
日当:裁判を起こされた場合に1日1万円~2万円程度
過払い金があった場合には過払い金に関する報酬

個人再生を安く依頼するためのコツ

ここまでお伝えした通り、個人再生をするには高額な費用が必要です。
個人再生を依頼するにあたって、借金返済でお金が無い中でも安く個人再生を依頼する方法を検討しましょう。

自分で個人再生は行える?

個人再生を専門家に依頼せずに、自分で行うのはどうなのでしょうか?
まず、法律上は個人再生は個人でも申し立てを行うことは可能です。
個人再生は、民事再生法に基づいて裁判所に申し立てをして行う手続きで、その内容は非常に厳格で、個人で申し立てをするからといってミスは許されません。
また、弁護士・司法書士に依頼をすれば、貸金業法で督促がとまることになるのですが、個人で申し立てをする場合には督促は止まらないので、返済ができていないような場合には督促を受けることになります。
また、弁護士に依頼して申し当てをすれば、その内容の調査の負担が減るため、個人再生委員の費用が安くなることがあります。
そのため、弁護士に依頼することは必須だと考えましょう。

司法書士に依頼すれば安い?

債務整理は弁護士・司法書士いずれもが取り扱いをしています。
ただ、司法書士は権限が限られており、個人再生との関係では裁判所に提出する書類の作成の代行をするにとどまります。
裁判所からは本人が申し立てをするのと同様の扱いとされ、再生委員に支払う費用が高くなることもあります。
個人再生については弁護士に依頼するのが基本だと考えておきましょう。
ただし、相談の段階では、どのような手続きが適切かを見極める必要もあるので、司法書士に相談してみることも必要といえます。

無料相談を賢く利用する

無料相談を賢く利用しましょう。
どのような債務整理手続きが適切かは、借金の額・返済能力などによります。
判断が難しいような場合には複数の弁護士・司法書士から意見をもらうのが望ましいです。
また、依頼する場合には長期間となるので、どのような弁護士や事務員が担当になるのかを見極める必要もあります。
そのため、無料相談を賢く利用し、自分に最適な手続きについて意見をもらい、かつ、自分が手続きを安心して任せられる弁護士を探すようにしましょう。

法テラスの民事法律扶助を利用

テラスの民事法律扶助を利用しましょう。
上述したとおり、弁護士・司法書士への報酬、とくに着手金・成功報酬は非常に額が大きいです。
法テラスでは、一定の収入以内であれば、弁護士・司法書士費用を立て替えてもらい、毎月5,000円程度~の立て替えた分を支払うようにしてもらえます(民事法律扶助制度)。
法テラスに利用の申し込みをするほか、弁護士・司法書士が法テラスと契約していれば、民事法律扶助を利用してくれるので、相談をする際に弁護士に相談してみましょう。

分割払いで依頼が可能

また、債務整理に注力している弁護士・司法書士であれば、通常は報酬は分割払いにしています。
一旦依頼してしまえば、借金返済をストップすることができるので、毎月の貸金業者への返済をストップし、その分を弁護士・司法書士への報酬に当てることができます。

本当に個人再生で良いかもう一度検討

本当に個人再生で良いかもう一度検討しましょう。
もし、安く個人再生をしたいと考えている理由が、個人再生をしても返済が厳しい場合であるとします。
個人再生を利用して返済を継続するよりも、自己破産をして借金を免責してもらうほうが適切な場合もあり、必ず個人再生をすることにメリットがあるわけであありません。
どのような手続きが適切かは、弁護士・司法書士と相談して決めるようにしましょう。

まとめ

このページでは、個人再生の費用についてお伝えしました。
個人再生をする場合には、手続き自体と弁護士費用に多額の費用の支払いが必要となります。
ただ、分割払いや支払うタイミングが違うなどで、今借金をしていても無理をしないで支払うことが可能となっています。
まずは、弁護士・司法書士に相談をしてみるようにしましょう。

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この記事を書いた人

神奈川大学法学部法律学科卒
2007年旧司法試験短答式・行政書士試験合格
2007年より法律事務所で勤務債務整理事務に従事
2018年より法律系を中心に解説記事の執筆をはじめる
相続・FX・旅行やグルメなども得意分野

債務整理に従事した経験から弁護士・司法書士に依頼する人の不安をなくしたいと考えています。

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