自己破産をするのにかかる費用は?安くなるコツはある?

借金返済が厳しい、返済ができない額まで借金が増えてしまった、このような場合に検討するのが自己破産です。
しかし、借金があるからこそ行う自己破産も、裁判所を通して行う・弁護士・司法書士に依頼をすることから、どうしても費用がかかります。
このページでは、自己破産にかかる費用と、自己破産にかかる費用を安く抑えるコツについてお伝えします。

目次

自己破産とは

自己破産にかかる費用について知る前提として、自己破産がどのような手続きなのかを確認しておきましょう。

自己破産とは

自己破産とは、個人が裁判所に申立てを行って精算を行った上で残った借金を免責してもらう手続きをいいます。
自己破産は、破産法という法律に基づく手続きです。
自己破産には、簡易な手続きで終わる同時廃止と、裁判所から破産管財人が選任される管財手続があります。
管財手続の中でも、簡易な手続きを少額管財といい、それ以外の手続きを通常管財(特定管財)と呼んでいます。

自己破産の特徴

自己破産の最大の特徴は借金が免責されることにあります。
他の債務整理方法である任意整理・個人再生を利用すると、任意整理では元金を、個人再生では最大1/10に減額された元金を、36回(3年)~60回(5年)に分割して返済する必要があります。
これに対して自己破産は基本的には借金・債務が免責されるので、すぐに得た収入を全額自分のために利用できます。
裁判所に申立てをして行う手続きである点は個人再生と同様です。

自己破産の手続きにかかる費用

自己破産は裁判所に申立てをして行う手続きなので、手続き自体に費用がかかります。

申立手数料

申立手数料は1,500円となっています。
1,500円の申立手数料は、申立書に収入印紙を貼付して納付します。

予納郵券

申立てにあたって裁判所が郵送をするために使う郵券(切手)を予納します。
予納郵券は裁判所によって運用が異なるのですが、おおむね3,000円~5,000円程度です。
なお、東京地方裁判所に申立てをする場合には4,400円分の納付をします(内訳:210円×8枚、140円×1枚、84円×29枚、10円×12枚、2円×10枚、1円×4枚)。

官報公告費用

自己破産をする際には官報での公告が行われます。
官報に掲載する費用も裁判所によって異なり、おおむね12,000円~14,000円が必要です。
東京地方裁判所に申立てをする場合、同時廃止の場合には11,859円、少額管財のときには18,543円となっています。

破産管財人の報酬

管財事件では破産管財人が選任されます。
破産管財人への報酬として、裁判所や事件の規模・種類に応じて20万円~50万円以上が必要となります。
弁護士に依頼して東京地方裁判所に自己破産を申し立てて少額管財となった場合には、20万円が必要となります。
この費用は、手続きが簡易になる弁護士からの申し立てである、資産がない、手続き進行に問題がないなどの原因によって低くなります。
大きな費用が必要ですが、自己破産を弁護士に依頼した後に、申し立てまでに準備することができるので、じっくり準備することが可能です。

自己破産にかかる弁護士・司法書士費用

次に、自己破産にかかる弁護士・司法書士費用はいくらくらいでしょうか。

弁護士・司法書士費用の内訳

弁護士・司法書士費用といっても、次のような種類に分けて考えられます。

  • 相談料
  • 着手金
  • 成功報酬
  • その他の費用

それぞれの費用について確認しましょう。

相談料

弁護士・司法書士に相談をするには相談料が必要です。
相場としては30分5,000円です。
なお、市区町村の法律相談や、法テラスの法律相談を利用すれば相談料は無料にできるほか、自己破産や債務整理に注力している弁護士・司法書士であれば、相談料を無料にしています。
これは、借金をしている状況で30分5,000円の費用の支払も通常は難しいことから、相談をしやすいようにするためです。

着手金・成功報酬

弁護士・司法書士に依頼する段階で支払う費用を着手金といいます。
弁護士・司法書士に依頼した自己破産について手続きが終了すると支払う費用のことを成功報酬といいます。
自己破産を弁護士・司法書士に依頼する段階で着手金を支払い、自己破産が終了した時点で成功報酬を支払うことになります。
着手金の相場として20万円~30万円、成功報酬の相場も同程度です。
管財事件になった場合には5万円~10万円程度が加算されます。
これらの着手金・成功報酬は一括で払うこともあり、この場合は合計した40万円~60万円程度が報酬となります。

その他の費用

その他の費用として、次のような費用が必要となります。
事務手数料:5,000円程度
訴訟された場合の実費:裁判所に出頭するのにかかった交通費
日当:半日1万円程度
過払金報酬金:減額した分の10%・取り戻した額の20%

自己破産にかかる費用を安くするコツ

自己破産にかかる費用を安くするコツとしては次のようなものがあります。

無料の相談を利用する

上述しましたが、無料の法律相談を利用しましょう。
市区町村や法テラスの無料相談を利用しても良いのですが、債務整理に関する知識・経験が必ずしも豊富であるとはいえず、適切な判断をもらえない可能性があります。
そのため、債務整理に注力していて相談が無料となっている弁護士・司法書士に相談するようにしましょう。

法テラスの民事法律扶助を利用する

法テラスの民事法律扶助を利用しましょう。
法テラスでは一定以下の収入であれば、法テラスが費用を立て替えてくれる民事法律扶助を利用することができます。
法テラスに相談をして債務整理を始める場合のほか、弁護士・司法書士が法テラスと契約をしていれば弁護士・司法書士を通して利用をすることができます。
毎月月5,000円~の支払いで済むので、非常に安く自己破産をすることができます。
収入の要件は世帯の人数によって異なるので、法テラスのホームページを調べる、弁護士・司法書士に相談する際に聞いてみてください。

弁護士に依頼するとかえって費用が安くなる理由

弁護士費用は以上のように非常に高額です。
しかし、弁護士に依頼するほうが、トータルでかかる費用が安くなる可能性があります。
上述したように自己破産にはいくつかの種類があり、同時廃止で手続きを行うことができれば破産管財人が選任されず、破産管財人に対する報酬が必要なくなります。
一方で通常管財となると50万円~の費用が必要となります。
同時廃止となる条件として、弁護士に依頼して申し立てをする必要があります。
これは、弁護士に依頼して申立てをする場合には、破産に関する調査を依頼を受けた弁護士が適切に行うため、裁判所の負担が少ないというのが理由です。
また、管財事件になる場合でも、簡易な手続きで20万円~の破産管財人への費用で済む少額管財で手続きを行う場合も、同様の理由で弁護士による申立てである場合でなければなりません。
弁護士費用を節約するために本人で申立てをして、苦労をして申立てをしても、破産管財人の費用が高くなる結果、弁護士に依頼するほうが帰って安くなるという可能性があります。

司法書士を利用すると安くなる?

自己破産・債務整理は、弁護士のほかに司法書士も取り扱っています。
司法書士は弁護士法72条の例外として、債務整理の各手続きに関する権限があるので、債務整理を取り扱っています。
ただし、自己破産に関しては司法書士に認められているのは自己破産の申立て書類を作成することのみで、代理人として活動することは認められていません。
そのため、司法書士からの申立ては本人の申し立てと同視して、同時廃止や少額管財の利用ができないことがあります。
司法書士報酬が安いことがあっても、結果として管財人報酬が多くかかってしまうことがあるので、自己破産をする場合に費用を絶対に安くしたい場合は弁護士に依頼するのが無難です。

弁護士費用は分割払いを利用する

弁護士費用は分割払いを利用しましょう。
弁護士費用は上述したように40万円~の費用がかかり、非常に高額です。
自己破産・債務整理を検討するようなケースでは、この費用の支払いも非常に困難であることが通常で、これでは自己破産の依頼ができません。
ただ、債務整理に注力する弁護士であれば、依頼を受けた上で弁護士費用を分割で支払うことを認めている事務所がほとんどです。
これによって、依頼をして債権者への返済を停止し、その返済分を弁護士費用に充てることができるので、手元にお金が乏しくても無理無く弁護士に依頼することが可能となっています。

費用だけで決めて良い?

弁護士をよく探せば、非常に安い費用で依頼を受けていることもあるでしょう。
しかし、弁護士費用が安い理由として、自己破産案件の依頼をそんなに受けておらず、費用を安くすることで依頼してもらいやすくしようとしていることもあります。
自己破産は弁護士の業務の中でも難易度の低いものとされますが、対応を間違うと債権者に裁判を起こされたり、自己破産が認められなくなってしまう可能性もあります。
値段だけで決めず、自己破産・債務整理に関する実績や、ホームページやSNSで積極的に情報発信をしているかなどで、しっかりした専門知識があることを確認するようにしましょう。

費用が安いからといって任意整理にしない

弁護士・司法書士に対する費用だけで言うと、任意整理のほうが非常に安いです。
任意整理の費用はおおむね次の通りです。

  • 相談料:無料
  • 着手金:債権者1社あたり2万円~5万円程度
  • 解決報酬金:1件2万円
  • 減額報酬金:10%

3社との任意整理をする場合、着手金を5万円とすると3社で15万円、解決した場合に解決報酬金が1件2万円とすると3件で6万円、減額がなければ合計で21万円です。
任意整理のほうが費用が安いので、任意整理が良いと考える方も多いです。
しかし、任意整理はその後に分割で返済をする必要がある一方で、自己破産は借金が免責されます。
弁護士費用は高くても、その後に返済をすることを考えれば、借金返済にかかる総額は任意整理のほうが大幅に多いといえるでしょう。

まとめ

このページでは自己破産をするためにかかる費用についてお伝えしました。
裁判所に申し立てをする手続きなので申し立て費用がかかるのと、弁護士に依頼することになるので弁護士費用がかかります。
弁護士に依頼する場合には、分割払いが可能となっているなど、現在手持ちで十分な費用がない場合でも依頼をすることが可能となっています。
まずは弁護士に相談してみるようにしましょう。

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この記事を書いた人

神奈川大学法学部法律学科卒
2007年旧司法試験短答式・行政書士試験合格
2007年より法律事務所で勤務債務整理事務に従事
2018年より法律系を中心に解説記事の執筆をはじめる
相続・FX・旅行やグルメなども得意分野

債務整理に従事した経験から弁護士・司法書士に依頼する人の不安をなくしたいと考えています。

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