借金を返済していくのが困難であれば、債務整理という選択肢があります。
債務整理の中でも特に強力な高架を発揮してくれるのが自己破産です。
自己破産するだけで借金に関する問題を解決できるケースも多くなっているため、利用している人も多数います。
では、実際に自己破産するとどのような影響があるのでしょうか。
実際に自己破産した場合の状況や注意すべきポイントを解説します。
自己破産するとどうなるのか
自己破産すると次のような状況に置かれます。
- 借金が全て0円になる
- 借金関連での強制執行がなくなる
- 一定の財産が保証される
- 借金返済のストレスから開放される
- 制限のない仕事は続けられる
一番の良さは借金が0円になるため、返済しなくてもいい点です。
他にも一部の財産が確保できるため、自己破産後の生活も立て直せる可能性があります。
ここからは、自己破産するとどうなるか詳しく説明します。
借金が全て0円になる
自己破産すると借金が0円になります。
自己破産は債務整理の中でも最も強力な方法であり、保有している借金は全てなくなります。
現時点で多額の借金を背負っていたとしても、自己破産が認められれば借金の返済はしなくていいのです。
これまで多額の借金を背負っていた人も自己破産するだけで借金を完全に減らして、毎日の生活をより良いものへと変えていけます。
なお、自己破産で借金が残るケースはありませんので安心してください。
借金関連での強制執行がなくなる
借金関連での強制執行を回避できます。
借金では強制執行によって次の状況が発生します。
- 財産の差し押さえ
- 差し押さえた財産を競売にかけて売却
- 債権者が債務者の借金を回収する
強制執行によって財産は差し押さえられてしまい、保有している住宅や車など、売れると判断されたものは残せなくなってしまいます。
また、差し押さえたものは戻してもらえないため、基本的に競売されて誰かに譲り受けられ、売った金額が債権者に支払われるというものです。
自己破産した場合は強制執行が回避できますので、財産に該当しているものの一部であれば残せる可能性があります。
一定の財産が保証される
自己破産によって一定の財産が保証されます。
借金を継続して支払っている状況は、基本的に財産が保証されているとは言い切れない状態であり、場合によってはすべて失ってしまう可能性もあります。
しかし、自己破産すれば一定金額である99万円以下の現金を保有できる他、売らなくてもいいとされている生活必需品も残せます。
財産として色々な物を確保できる可能性が高くなっているため、仮に実行したとしても自己破産で余計なものまで失わなくて済むのはいいところです。
借金返済のストレスから開放される
借金返済のストレスから開放され、メンタル的にも安心できる傾向があります。
借金返済はストレスが非常に強くなっており、場合によってはなかなか返済が終わらずに苦労してばかりの状況も起こります。
返済が終わらないとストレスによる健康状態の悪化も心配されるので、なるべくストレスを減らして返済しやすい環境を作っておきたいところです。
自己破産でストレスを軽減しておけば、返済のことを一切考えずに生活できるため、毎日の生活への苦労はほぼなくなっていくでしょう。
自己破産のメリットと言える部分でもあり、毎日の生活への影響を大幅に改善できます。
制限のない仕事は続けられる
制限されない仕事については、自己破産しても続けられます。
自己破産では代償として一部の仕事が続けられないルールが設けられています。
しかし、制限されていない仕事であれば、基本的にそのまま続けても問題ありません。
制限されていない仕事で収入を得たとしても、自己破産後のルールに影響していないため安心して仕事も続けられます。
ただ、制限のある仕事をしている場合は仕事を変えなければなりませんので、影響を受ける仕事であれば注意したほうがいいでしょう。
自己破産した場合に影響すること
自己破産した場合にマイナスの影響として残るものもあります。
実際に受ける影響として次の要素があります。
- 数年間は借入禁止
- 一定の金額を残して財産はすべて没収される
- 仕事や資格の制限を受ける
- 保証人も自己破産するケースがある
- 自己破産した情報は外部に漏れてしまう
自己破産は借金を踏み倒す行為ですので、当然ですが新規の借入は認められません。
また、一定の金額以外は残せないようになっていますので、高額な財産は失ってしまうものと判断してください。
ここからは、自己破産した場合に影響するポイントを詳しく説明します。
数年間は借入禁止
自己破産後は数年間借入が認められません。
自己破産というのは、借金を整理して返済額を強制的に減らす行為に該当していますので、実行するのは貸している側に不利益を与えています。
不利益を与える行為をしている人には容赦なく借入禁止の措置が取られてしまい、融資を希望したとしても対応してもらえません。
当面の間はブラックリスト扱いとして借金はできなくなり、融資を受けたいとしてもどこからも借りられない状況となります。
なお、借りられない期間は業者によって異なっていますが、最低5年程度は融資を受けられない傾向があります。
一定の金額を残して財産はすべて没収される
自己破産によって一部の財産は没収されてしまいます。
具体的には次の財産は残せない対象となります。
- 不動産(住宅など)
- 自動車
- 株などの有価証券
- FXや仮想通貨の利益
- 貴金属やブランド品
- 退職金の一部
- 生命保険や個人年金の返金
基本的には20万年を超えるものは残せなくなっているため注意してください。
保有している場合は原則して売却し、借金返済に充てなければなりません。
仮に保有している場合は容赦なく処分されますので、持っている場合は覚悟したほうがいいでしょう。
特に住宅や車など、生活に必要とされているものも処分対象となってしまう点に気をつけておきましょう。
仕事や資格の制限を受ける
仕事や資格の制限を受けてしまい、一部の仕事はできなくなってしまいます。
具体的には次の仕事はできません。
- 貸金業
- 警備員
- 建築士
- 生命保険募集人
- 税理士
- 弁護士
- 司法書士
この他にも役員になれない仕事があるなど、制限される仕事がいくつか存在します。
該当している仕事の場合は転職するなどして収入を確保しなければなりません。
制限を受けている仕事を続けるのは不可能ですので、自己破産と一緒に仕事の変更についても検討していく必要があるでしょう。
保証人も自己破産するケースがある
自己破産をする際、一部のケースで保証人も自己破産するように求められる場合があります。
連帯保証人の借金を保有していた場合、返済できない事例は連帯保証人が支払うように求められます。
しかし、連帯保証人も支払える能力を超えてしまっていた場合は、連帯保証人も含めて自己破産しなければ借金がすべて消える状況にならないのです。
連帯保証人として借金の返済を実施しなければならない人は、場合によって自己破産の選択を借りている人と一緒に実行する必要があるので注意してください。
ただ、全てのケースで連帯保証人が自己破産するわけではないため、状況によっては借りている本人だけが行えば問題ない場合もあります。
自己破産した情報は外部に漏れてしまう
自己破産した情報は官報と呼ばれるものに記載されます。
官報は誰でも見られるようにしている書類であり、自己破産している情報が外部に漏れてしまうことを意味しているのです。
あまり知られていないので気にならないかもしれませんが、一応外部に自己破産したと判断される情報が掲載されるのは覚えておいたほうがいいでしょう。
なお、官報以外の方法で通知する方法はないので安心してください。
自己破産後の生活で気をつけたいこと
自己破産後の生活で気をつけておきたいこととして、次の要素を覚えておきましょう。
- クレジットカードは持てない
- 分割払いやリボ払いは使えない
- 仕事の制限を受けた場合は転職する
- 現金に余裕を持って生活する
- 再度自己破産する場合は7年以上経過しなければならない
便利な支払い方法が全て使えなくなっている点に注意してください。
また、借入等はできませんので、現金に余裕を持って生活しなければ何もできない状況に置かれてしまう可能性があります。
ここからは、自己破産後の生活で気をつけたいポイントを詳しく説明します。
クレジットカードは持てない
自己破産するとクレジットカードは保有できません。
理由はクレジットカードが借入に該当している商品と判断されるためです。
クレジットカードも個人情報の審査によって発行されているものです。
発行する際に信用情報をチェックしているケースが多く、その場で自己破産の情報を確認されてしまうため発行できないのです。
クレジットカードが持てないことで、ネットショッピングや高額な買い物は難しくなっている点に注意しておきましょう。
なお、キャッシング枠を0円にした場合でもクレジットカードは保有できません。
分割払いやリボ払いは使えない
分割払いやリボ払いも利用できません。
こちらも借金として扱われるのが大きな要因となっており、自己破産後は使えなくなってしまいます。
分割払いは携帯電話を購入する際に利用するケースが多くなってしますが、自己破産後は分割払いで購入できないため一括での支払いが求められます。
携帯電話を自己破産後に購入するのはかなり厳しい状況となりますので、できる限り新しいものは自己破産前に購入しておくなど、できる限りの対応を取ったほうがいいでしょう。
リボ払いは借金やクレジットカードのリボ払いが対象となりますが、基本的に借金の支払い方法としてリボ払いが採用されているため利用できなくなっています。
仕事の制限を受けた場合は転職する
仕事の制限を受けている場合は、転職するなどして収入確保を狙わなければなりません。
制限を受けている仕事は、自己破産後しばらくはできなくなっています。
1年などの短期間ではなく、自己破産したという情報が消えるまでは基本的に制限を続ける必要がありますので、長期に渡って仕事の制限を受けてしまいます。
制限を受けている仕事をしている場合は、別の仕事で収入をしっかり得ておかないと、生活できる状況が作れないため注意しなければなりません。
なお、制限が解除された後は、再度制限に該当している仕事をしても問題ありません。
現金に余裕を持って生活する
自己破産後は現金に余裕を持って生活したほうがいいでしょう。
理由としてはクレジットカードや借金ができないためで、後回しにして返済する方法が取れなくなっているためです。
自己破産していない場合はクレジットカードや借金、後払いなどを駆使して返済を少しでも後に回していく方法が使えます。
しかし、自己破産した場合はクレジットカードも発行できず、借金などのローンも組めないために現金を利用して生活していく以外に方法はないのです。
少しでも現金を多く残すようにして生活していなければ、生活できなくなって生活保護を受けることとなってしまいます。
少しでも現金を多く手元に残しておくなど、節約生活を中心として実施していくよう心がけたほうが無難です。
再度自己破産する場合は7年以上経過しなければならない
仮に自己破産後に再度自己破産しなければならない状況が生じた場合、7年間が経過しなければ対応してもらえません。
自己破産にはルールがあり、1度自己破産している場合には次の自己破産に制限を加えています。
ルールとして設けられているのが7年という期間であり、経過していない場合はどのような理由があっても自己破産は認められず、別の債務整理等で対処しなければなりません。
簡単に自己破産を認めてしまうと、自己破産を不正利用して借金を意図的に消してしまう行為が簡単にできてしまうため、ルールとして期間制限が設けられているのです。
7年の間に借金を溜め込まないように気をつけるのは当然ですが、自己破産しなければならない事情が生じた場合には年数に気をつけておきましょう。
まとめ
自己破産というのは安心できる要素も多数持っていますが、実行すると色々な制限を受けてしまうため、利用する際はしっかり考えておかなければなりません。
特に保有している財産に影響が及んでしまうため、高額なものはほぼ残せなくなってしまい、生活への影響が大きくなってしまう人もいるでしょう。
自宅を保有している人は売却させられてしまう点に注意しておき、次の生活拠点を確保するなどして安心して生活できる状況を作っておきましょう。
自己破産後は無理をしない生活を続けて、少しでも現金を多く残して安心感を得るのがおすすめです。