東京地方裁判所における個人再生事件の運用の特徴
東京地方裁判所においては,個人再生事件について,他の裁判所とは異なる運用を行っている部分があります(立川支部も同様です。)。具体的には,①弁護士が代理人となって申し立てることが原則とされていること,②全件について個人再生委員が選任されること,③全件について履行可能性テストが実施されること,④標準スケジュールが設定されていること,が挙げられます。
ここでは,この東京地方裁判所における個人再生事件の運用の特徴について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
(著者 : 弁護士 志賀 貴 )
東京地裁における個人再生事件
東京地方裁判所は,日本国内において最も大規模な地方裁判所です。その管轄内の人口も,やはり日本最大の人数を抱えています。そのため,個人再生の事件数も,他の裁判所に比べて圧倒的に多数です。
その分,他の裁判所よりも多くの個人再生事件処理の実績と先例を積み重ねているといえます。
また,その膨大な数の事件を処理していくために,東京地方裁判所では,他の裁判所よりも人的・物的に充実した設備が整えられています。
これらの,多くの実績や大規模庁の設備があることから,東京地方裁判所においては,個人再生事件について,他の裁判所にはない特徴的な手続運用がとられています。
東京地方裁判所立川支部においても,本庁とほとんど同様の運用がなされています。
>> 個人再生とは?
弁護士代理人申立ての原則
個人再生の申立ては,言うまでもなく,弁護士に依頼せずとも,再生債務者だけで行うことができるのが原則です。
もっとも,個人再生の手続は若干複雑な面があり,再生債務者自身が手続を進めて行かなければならないことや,不正な制度利用等を防止する見地から,東京地裁では,弁護士代理人による申立てを原則としています。
東京地裁では,弁護士代理人による申立ての原則と,後述の個人再生委員の全件選任とがあいまって,個人再生手続の適正化と大幅な簡素化・迅速化の両方を実現しているといわれています。
なお,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所でも,個人再生のご依頼・ご相談を承っております。
個人再生委員の全件選任
裁判所は,個々の個人再生事件を指導・監督させるため,個人再生委員を選任することができます。
あくまで選任することが「できる」ということですので,選任するかしないかは,個々の事件ごとに裁判所が決めることができます。また,どのような職務を行うのかについても,裁判所が決めることになります。
もっとも,客観的な立場にあり,専門的知識を有する個人再生委員が指導・監督した方が,手続を適正・円滑に進めることができますし,裁判所の負担を軽減できます。
そこで,東京地裁(本庁および立川支部いずれも)では,個人再生事件全件につき,必ず個人再生委員が選任されるという運用になっています。
また,個人再生委員の選任にあたっては,再生債務者の財産状況の調査・再生債権の評価における裁判所の補助・再生計画案作成に関する再生債務者への勧告の3つの職務のうちの1つまたは2つ以上の職務を指定して選任することができるとされています。
東京地裁の場合には,これら3つの職務の全部を指定して選任するものとされています。
したがって,東京地裁の個人再生事件では,全件について,しかも,個人再生手続の全般を通して,個人再生委員の指導・監督を受けることになります。
個人再生委員に選任されるのは,管轄内の法律事務所所属の弁護士です。また,個人再生委員報酬は15万円とされています。
>> 個人再生委員とは?
履行可能性テストの実施
個人再生は,裁判所によって認可された再生計画に基づき,再生債務者が返済をしていく手続です。
そのため,再生計画を認可するに当たっては,再生債務者がそれ以降も返済を続けていくだけの資力や収入があるのかというのかということが,最も重要なポイントになってきます。
そこで,東京地裁(本庁および立川支部いずれも)では,履行テストが行われています。トレーニング期間とも呼ばれます。
これは,再生計画に基づき履行していくことになると予想される金額と同額程度を,個人再生申立て後,個人再生委員に対して6か月間毎月支払っていくという手続です。
個人再生委員に対して6か月間支払いを継続できるのであれば,再生計画認可決定後も,その金額を再生債権者に支払っていくこと可能性が高いといえます。
他方,6か月間支払いを継続できないのであれば,再生計画を履行できる可能性が低いといえます。
つまり,履行可能性テストの成否は,裁判所による再生計画認可・不認可の判断において参考とされます。
というよりも,履行可能性テストが失敗した場合は,よほどの事情がない限り,再生計画は不認可となると考えておいた方がよいでしょう。
標準スケジュールの公開
個人再生手続においては,申立てから認可までの間に,さまざまな手続が行われ,しかも東京地裁の場合には,前記のとおり,履行可能性テストなども行われます。
そこで,手続の予測可能性・透明性を高め,再生債務者が計画的に作業を進めることができるように,東京地裁では,概ね申立てから6か月で認可・不認可決定に至るまで手続の標準スケジュールを公開しています。
基本的には,このスケジュールに沿って,個々の事件の具体的なスケジュールが決められることになります。
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