債務不履行(さいむふりこう)とは?
債務者が,債権者に対し,正当な理由なく債務の本旨に従った履行をしないことを「債務不履行」といいます。借金を支払えなくなるということは,借金債務について債務不履行となるということです。債務不履行が生じた場合,債務者は債権者に対して債務不履行責任を負うことになります。
ここでは,この債務不履行とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
(著者 : 弁護士 志賀 貴 )
債務不履行(さいむふりこう)とは
「債務」とは,特定の人に対して何らかの行為や給付をしなければならない法的義務のことをいいます。そして,債務を負担する人のことを「債務者」といいます。
例えば,借金であれば,借主(債務者)が,貸主(債権者)に対して,借りたお金を返済しなければならない債務を履行する法的義務を負うことになります。
そして,債務者が,正当な理由なく債務の本旨に従った履行をしないことを「債務不履行(さいむふりこう)」といいます。
>> 債権・債務とは?
債務不履行の類型
債務不履行には,以下の3類型があります。
- 履行不能
- 履行遅滞
- 不完全履行
履行不能とは,履行が不可能になってしまったという場合の債務不履行のことをいいます。例えば,物を引き渡すという債務があったのに,この物を滅失させてしまったというような場合です。
履行遅滞とは,債務を履行しないまま定められた履行期を過ぎてしまった場合の債務不履行のことをいいます。支払期限を過ぎても金銭の支払いをしなかったというような場合です。
最後の不完全履行とは,完全な履行をしなかったという場合に生ずる債務不履行責任です。物を引き渡したが,その物が完成品では無かったというような場合です。
近時は,上記の3つに分類することに対して異議を唱える学説も有力ですが,通説は上記の3分類説を採用し,判例も概ね上記の分類を採用しているものと考えられています。
債務不履行の効果
債務不履行をするということは,法律で定められた義務をまっとうしないということです。そのため,債務不履行が生じた場合には,法的な責任が生じます。この法的責任のことを,「債務不履行責任」といいます。
債務不履行責任が生じた場合,債権者は債務者に対して,以下の責任追求をすることができます。
- 完全な履行を請求すること(履行請求権)
- 契約に基づく債務の場合には契約の解除
- 損害賠償の請求
債務不履行が生じた場合,債権者は,債務者に対し,完全な履行をするよう請求できます。債務者が任意に履行しなかった場合には,履行の強制を裁判所に請求できます(民法414条1項本文)。
履行の強制とは,つまり,強制執行など民事執行をすることができるということです。民事執行の手続については,民事執行法によって定められています。
ただし,履行不能の場合は,そもそも履行が不能ですので,履行請求権(および履行の強制)は認められません(民法412条の2第1項)。
借金の債務不履行
借金とは,法的に言うと,金銭消費貸借契約に基づく貸金返還債務です。したがって,借金を返済できないということは,この金銭消費貸借契約上の義務に違反するということになります。
借金を支払えないという場合にどのような債務不履行責任が生じるのかというと,履行遅滞による債務不履行責任が認められることになります。
金銭がこの世の中から完全に無くなるということは考えられません。したがって,基本的に,金銭を支払う債務が履行不能となることはあり得ないものとされています。
現実的に,支払う金銭が無いというのは個人的な事情にすぎないので,世の中にお金が流通している以上,履行不能はあり得ないというわけです。
仮に,お金がなくて100万円の借金を返せないとしても,それはお金を返すのが不可能となったわけではなく,単にお金を返すのが遅れていると考えるのです。
そのため,借金のような金銭債務については,履行不能というものはありません。
また,お金は可分なものです。例え,100万円の借金であっても,1万円ずつ支払うということも不可能ではありません。
100万円のうち,30万円しか支払えないとしても,残りの70万円については後に別途支払うことはできるのです。
その観点からすれば,100万円のうち30万円しか支払っていないとしても,それは履行が不完全なわけではなく,残りの70万円について支払いが遅れていると考えることになります。
そのため,借金のような金銭債務については,原則として不完全履行も認められないということになります。
したがって,借金の債務不履行というのは常に履行遅滞である,ということになるのです。そして,この履行遅滞責任に基づく損害賠償請求が,遅延損害金と呼ばれるものです。
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