個人事業主・自営業者の自己破産でも同時廃止になるか?
東京地方裁判所を含む多くの裁判所では,個人事業主・自営業者の自己破産の場合,原則として管財手続として取り扱われる運用になっています。同時廃止になるのは例外的な場合に限られるということです。
ここでは,この個人事業主・自営業者の自己破産でも同時廃止になるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
(著者 : 弁護士 志賀 貴 )
自己破産における同時廃止
破産手続には,管財手続と同時廃止手続という2つの手続があります。
管財手続とは,裁判所によって破産管財人が選任され,その破産管財人が財産の調査や換価処分,免責に関する調査などを行う手続です。破産手続の原則的形態です。
これに対し,例外的な手続として同時廃止手続があります。同時廃止手続とは,破産管財人が選任されないまま,破産手続の開始と同時に破産手続が廃止になるという手続です。
同時廃止手続の場合,破産管財人は選任されませんから,費用が管財手続の場合よりもかなり少額で済みます。
また,破産管財人が選任されないということは各種の調査など管財業務も行われないということですから,手続終了までの期間も,管財手続の場合よりも短縮されます。
そのため,自己破産をする債務者の側からしてみると,同時廃止の方が,有利な点が多いと言えるでしょう。
個人事業主・自営業者の自己破産における同時廃止
個人事業者・自営業者の自己破産の場合でも,管財手続と同時廃止手続があることに変わりありません。
しかし,東京地方裁判所を含めて多くの裁判所では,個人事業主・自営業者の自己破産の場合には,原則として管財手続になるという運用をとっています。同時廃止になるのは例外的な場合に限られるということです。
個人事業者・自営業者の場合,事業者でない場合よりも,複雑な契約関係や財産関係が存在するのが通常です。
そのため,調査が不十分ですと,財産を見逃したり,清算すべき法律関係を放置してしまうなどの危険性があります。
そのような不十分な処理のまま破産事件を終了させてしまうと,利害関係人,特に債権者に不利益を与えるおそれがあります。
適正な処理をするためには,破産管財人によって十分な調査がされることが必要となります。
そこで,個人事業主・自営業者の自己破産の場合には,原則として管財手続になるという運用がとられているのです。
ただし,東京地方裁判所(立川支部を含む。)などでは,管財手続になるとしても,引継予納金の額が少額で済む「少額管財」として取り扱われるのが通常でしょう。
※少額管財またはそれと同様の運用がなされているかどうかは,各裁判所ごとに異なります。裁判所に問い合わせるなどして事前に確認しておく必要があります。
>> 個人事業主・自営業者の自己破産でも少額管財となるのか?
例外的に同時廃止になる場合
前記のとおり,個人事業主・自営業者の自己破産の場合には,管財手続(少額管財)になるのが原則です。
ただし,例外的に,個人事業者・自営業者の自己破産の場合であっても,同時廃止として取り扱われることもあり得ます。
具体的に言えば,事業者でない場合と同視できる程度の契約関係や財産関係しかなく,破産管財人による調査を経なくても,同時廃止の要件を充たしているかどうかを判断できる場合には,同時廃止となることはあり得ます。
例えば,個人事業の形態をとっているものの,実際には1社としか取引をしておらず,しかも,その1社から雇用されているのとほとんど変わらない勤務状況にあるような場合などが考えられます。
なお,言うまでもありませんが,上記のような場合でも,同時廃止の要件を充たしていなければ同時廃止になることはありません。
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