破産手続開始原因とは?
破産手続を開始してもらうためには「破産手続開始原因」があることが必要です。破産手続開始原因とは,破産手続が開始される原因となる事実のことをいいます。具体的に言うと,破産手続開始原因には「支払不能」と「債務超過」があります。支払不能とは,弁済能力の欠乏により,破産者が弁済期の到来した債務を,一般的かつ継続的に弁済することができないと判断される客観的状態のことをいいます。支払停止があった場合,支払不能であったと推定されます。債務超過とは,債務総額が資産総額を超過しているために,債務者が,その債務につき,その財産をもって完済することができない状態のことをいいます。これらのうち,個人の自己破産の場合には,支払不能のみが破産手続開始原因となります。
ここでは,破産手続開始原因とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
(著者 : 弁護士 志賀 貴 )
破産手続開始原因とは?
破産手続は誰でも無条件にできるわけではありません。破産手続は破産手続開始決定(かつて「破産宣告」と呼ばれていたものです。)という裁判所の裁判によって開始されます。
そして,この破産手続開始決定がなされるには,破産手続開始の申立てが適法で,破産障害事由が無く,しかも,破産手続開始原因がなければなりません。
破産手続開始原因とは,文字どおり,破産手続が開始される原因となる事実のことをいいます。具体的に言うと,破産法上,「支払不能」と「債務超過」が破産手続開始原因とされています。
個人の破産の場合には支払不能のみが,法人の破産の場合には支払不能と債務超過の両方が破産手続開始原因となります。
相続財産の破産では債務超過のみが,信託財産の破産の場合には支払不能と債務超過の両方が破産手続開始原因となります。
破産手続開始原因となる支払不能
破産手続開始原因となる「支払不能」とは,「弁済能力の欠乏により,破産者が弁済期の到来した債務を,一般的かつ継続的に弁済することができないと判断される客観的状態である」と言われます。
個人の破産の場合は,この支払不能のみが破産手続開始原因となります。
支払不能かどうかは,破産手続開始の裁判の時点で判断されます。支払不能であるというためには,以下のような要件が必要です。
- 弁済能力が欠乏していること
- それにより,弁済期の到来した債務を,一般的かつ継続的に弁済することができないと判断される客観的状態にあること
支払停止による支払不能の推定
支払停止とは,「弁済能力の欠乏のために,弁済期の到来した債務を,一般的かつ継続的に弁済することができない旨を外部に表示する債務者の行為」のことをいいます。
この支払停止は破産手続開始原因そのものではありません。しかし,前記破産法30条2項のとおり,支払停止があった場合には,破産手続開始原因である支払不能が推定されます。
支払不能であることを疎明するのは,なかなか困難な場合があります。そこで,支払停止であることを疎明すれば,その支払停止以降は支払不能であったものとして扱ってもらえることとされているのです。
これはあくまで「推定」ですので,支払停止であれば必ず支払不能というわけではありません。しかし,推定が覆されない限り,支払停止がある場合には支払不能と判断されます。
例えば,弁護士が各債権者に受任通知を送付して取立てや返済を停止する場合が支払停止に当たります。
破産手続開始原因となる債務超過
債務超過とは,債務総額が資産総額を超過しているために,債務者が,その債務につき,その財産をもって完済することができない状態のことをいいます。
個人の破産の場合,この債務超過は破産手続開始原因にはなりません。債務超過が破産手続開始原因となるのは,法人破産や相続財産破産の場合です。
個人の破産の場合には,その個人が債務について無限責任を負います。つまり,現在の資産だけでなく,将来の資産も債務の引き当てにできるため,単なる債務超過は破産手続開始原因とされていないのです。
したがって,個人破産の場合には,支払不能だけを考えておけばよいことになります。
>> 破産手続開始原因となる債務超過とは?(法人破産の場合)
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