自己破産すると官報に公告されるのか?
官報とは,国の機関誌です。官報により,裁判所の公告もされます。公告とは,ある事柄を一般に知らせることをいいます。裁判所の公告事項には,自己破産に関する事項も含まれますので,自己破産をすると官報公告されます。具体的には,①破産手続開始決定がされた場合,②破産手続廃止決定または終結決定がされた場合,③免責許可決定がされた場合に官報公告されます。官報公告される場合,それぞれの決定がされたことだけでなく,破産者の氏名や住所も官報に掲載されます。
債務整理の方法の1つに「自己破産」があります。ここでは,この自己破産すると官報に公告されるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
(著者 : 弁護士 志賀 貴 )
官報による公告とは?
自己破産のデメリットの1つとして,「官報に公告されること」が挙げられます。
「官報」とは,国が発行する機関誌です。現在では,独立行政法人国立印刷局が編集および発行を行っています。
この官報によって,憲法・詔書・法律・政令・条約・省令・告示等の「法令の公布」,国会事項・人事異動・叙位・叙勲・褒章・皇室事項・官庁報告(国家試験・公聴会・地価公示等)及び資料(閣議決定事項・国際収支状況等)等の「広報」のほか,「公告」もされます。
公告とは,ある事柄を一般に知らせることをいいます。この公告として,各省庁の公告・特殊法人の公告・地方公共団体の公告・会社の公告などがされており,さらに,裁判所の公告もなされます。
そして,この裁判所の公告事項の1つとして,自己破産に関する事項があります。官報に掲載されることによって,個人再生に関する事項も公告されるのです。
>> 官報とは?(独立行政法人国立印刷局サイトから)
自己破産における官報公告
前記のとおり,裁判所の公告として,自己破産に関する事項も官報公告されます。具体的には,以下の場合に官報公告されることになります。
- 破産手続開始決定がされた時
- 破産手続廃止決定または終結決定がされた時
- 免責許可決定がされた時
最初に官報公告されるのは,裁判所によって破産手続開始決定がされたときです。破産手続開始決定がされると,そのことが官報公告されると同時に,破産者の氏名や住所も官報で公告されます。
破産手続廃止決定がされた時または破産手続終結決定がされた時も,官報に公告されます。
同時廃止の場合には,破産手続開始と同時に廃止になるため,同じ機会に官報公告されることになります。
免責許可決定がされた時も官報公告されます。免責許可と同時に破産手続が廃止または終結する時は,免責許可決定と破産手続廃止決定または終結決定の登記が同じ機会に官報公告されます。
これらの場合も,それぞれ決定がなされたこと等が記載されると同時に,破産者の氏名や住所も記載されます。
したがって,手続によって異なりますが,自己破産すると2~3回,官報に公告されることになります。
官報公告される理由
前記のとおり,自己破産の手続においては,合計2~3回,官報に公告されます。自己破産に関する事項を官報公告する理由は,債権者や利害関係人に対して,手続への参加の機会を確保するところにあります。
自己破産申立てに際して提出される債権者一覧表に記載がある債権者に対しては,裁判所から破産手続開始決定書や開始の通知等が送達されますので,それにより手続参加の機会を与えられます。
しかし,債権者一覧表に記載されなかった債権者等には直接の連絡がされない可能性があります。
そのような債権者に対しても,自己破産の手続が行われていることを知らしめるためには,広く周知できる方法をとる必要があります。
その方法が「官報公告」です。官報公告によって,申立人や裁判所等が覚知できなかった債権者等に対しても,自己破産手続が行われていることを知らせ,手続参加の機会を与えることができるのです。
官報公告する理由は,あくまで債権者等に手続参加の機会を与えることです。信用情報のように,債務者の経済的信用に関する情報を共有したり公開したりすることが目的ではありません。
官報公告されるとどうなるのか?
前記のとおり,官報公告されると,破産者の方の氏名や住所が官報に記載されることになります。
官報は国の機関誌ですから,基本的には誰でも見ることが可能です。
最近では,インターネット上でも見ることが可能ですので,その意味では,自己破産をしていることを,他人に知られてしまうおそれが以前よりも大きくはなっていると言えます。
ただし,実際問題として,官報は毎日発行されており,常に新しい情報が掲載され続けています。しかも,1日分だけ見ても,掲載されている情報量はかなり膨大です。
加えて,誰でも見ることができるものの,どこにでも売っているようなものではありません。
そうすると,官報を,毎日またはかなり頻繁に,しかも念入りにまたは意識的にチェックしているような人でもなければ,ある特定の誰かの自己破産の記載など発見することは現実的に困難でしょう。
したがって,少なくとも,職業的に官報をチェックするような人,一定の公務員,金融機関,保険会社,会計事務所,法律事務所の人などでもない限りは,官報公告によって自己破産をしていることを知られてしまうというおそれはそれほど大きくないと思われます。
なお,官報公告されると,それを見た闇金から「うちならお金を貸します」というDMなどが送られてくることがあります。間違っても,そのようなところから借りてしまわないようにしてください。
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