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個人再生の申立て

小規模個人再生の再生計画認可要件・不認可事由

小規模個人再生の再生計画が認可されるためには,再生債権者による決議において再生計画案が可決された上で,民事再生法に定める再生計画の不認可事由がないことが必要となります。

ここでは,小規模個人再生の再生計画が認可されるために必要となる要件・不認可事由について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

再生計画認可の要件

個人再生手続を開始してもらうためには,開始要件を具備している必要があります。

しかし,たとえ個人再生手続が開始できたとしても,再生債務者が作成する再生計画が裁判所によって認可されなければ意味がありません。

再生計画が認可されれば,それに従って再生債権者に対して弁済をしていくことになります。

この再生計画が認可されるためには,開始要件とは別に,いくつかの再生計画認可のための要件を満たしていなければなりません。

個人再生には,小規模個人再生給与所得者等再生がありますが,小規模個人再生において再生計画を認可してもらうためには,以下の要件を満たしている必要があります。

  • 小規模個人再生の再生計画案が可決したこと
  • 個人再生特有の不認可事由がないこと

>> 小規模個人再生とは?

小規模個人再生の再生計画案が可決したこと

民事再生法 第230条 第6項

第4項の期間内に再生計画案に同意しない旨を同項の方法により回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず,かつ,その議決権の額が議決権者の議決権の総額の2分の1を超えないときは,再生計画案の可決があったものとみなす。

小規模個人再生が認可されるためには,まず,再生債権者による再生計画案の決議において再生計画案が可決されることが必要となります。

小規模個人再生においては,裁判所に対して再生債務者から再生計画案が適法に提出されると,その再生計画案は,再生債権者の決議にかけられます。その決議において可決されなければならないということです。

仮に再生計画案が否決されると,再生手続は廃止となります。廃止とは,つまり,再生計画を認可するかどうかを判断することなく,再生手続を終了させてしまうということです。

したがって,再生計画案が可決されることは,再生計画認可のために必須の要件であるということです。

この小規模個人再生における決議は書面で行われますが,議決権を有する各再生債権者から積極的に同意書を提出してもらうという方法ではなく,不同意の場合にのみ不同意の回答書を提出してもらい,不同意の議決権者が一定数いた場合に限り否決とし,そうでない場合には可決したものとみなすという方法をとっています。

つまり,不同意回答書を提出しなかった再生債権者は,再生計画案について消極的に同意しているものとみなすわけです。

具体的には,不同意回答をした再生債権者が再生債権者の頭数総数の半数に満たなかった場合で,かつ,不同意回答をした再生債権者の再生債権額が再生債権の総額の2分の1を超えなかった場合には,再生計画案は可決したものとみなされます。

>> 小規模個人再生における再生計画案の決議とは?

再生計画案の決議が否決とされる場合

逆にいうと,以下のいずれかの場合には,再生計画案は否決になるということです。

  • 不同意回答をした再生債権者の頭数が,再生債権者の頭数の総数の半数以上であった場合
  • 不同意回答をした再生債権者の有する再生債権額が,再生債権総額の2分の1を超える場合

例えば,再生債権者が4人いる場合に,そのうちの2人が不同意回答をすると,再生計画案は否決となります。

また,再生債権者Aの債権額300万円,再生債権者Bの債権額500万円,再生債権者Cの債権額1000万円であった場合,不同意回答をしたのがCのみであったとしても,不同意議決権の額が,再生債権総額1800万円のうちの1000万円であり,総額の2分の1を超えているので,再生計画案は否決となります。

このため,小規模個人再生では,債権者から異議(不同意意見)を出されないかどうかということが非常に重要な問題となってきます。

貸金業者等の金融機関ですと,異議をだしてくる業者は限られていますが,金融機関でない債権者は異議をだすかどうかは不明確なところがありますので,あらかじめ確認をしておく必要があるでしょう。

>> 債権者の不同意があると小規模個人再生は認可されないのか?

再生計画不認可事由のないこと

小規模個人再生が認可されるためには,再生計画案が可決された上で,再生計画の不認可事由がないことも必要となります。

再生計画の不認可事由とは,文字どおり,その事由があると再生計画を不認可とするという事由です。

この再生計画不認可事由には,民事再生全般に共通するものと個人再生に特有のものがあります。

>> 個人再生における再生計画認可要件とは?

民事再生全般に共通の再生計画不認可事由がないこと

民事再生法 第174条

第1項 再生計画案が可決された場合には,裁判所は,次項の場合を除き,再生計画認可の決定をする。
第2項 裁判所は,次の各号のいずれかに該当する場合には,再生計画不認可の決定をする。
① 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し,かつ,その不備を補正することができないものであるとき。ただし,再生手続が法律の規定に違反する場合において,当該違反の程度が軽微であるときは,この限りでない。
② 再生計画が遂行される見込みがないとき。
③ 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき。
④ 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。

民事再生法 第231条 第1項

小規模個人再生において再生計画案が可決された場合には,裁判所は,第174条第2項(当該再生計画案が住宅資金特別条項を定めたものであるときは,第202条第2項)又は次項の場合を除き,再生計画認可の決定をする。

個人再生の手続は,個人にも利用できるように民事再生手続を簡易化した民事再生の特則ですが,民事再生手続の1つであることに変わりはありません。

したがって,個人再生においても,民事再生全般に共通する再生計画認可の要件を満たしている必要があります。小規模個人再生も個人再生の1つですから,民事再生共通の要件が必要となります。

民事再生共通の再生計画認可の要件とは「民事再生法174条2項各号に定める再生計画不認可事由がないこと」です。

小規模個人再生においても,民事再生法174条2項各号に定める再生計画不認可事由があれば,再生計画は不認可となります(民事再生法231条1項)。

具体的にいえば,小規模個人再生においても必要となる民事再生共通の再生計画認可の要件として,以下の要件が必要であるということです。

  • 再生手続に不備を補正できない重大な法律違反がないこと
  • 再生計画に不備を補正できない法律違反がないこと
  • 再生計画遂行の見込みがあること
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立したものでないこと
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反していないこと

>> 民事再生共通の再生計画認可の要件とは?

個人再生特有の再生計画不認可事由がないこと

民事再生法 第231条

第1項 小規模個人再生において再生計画案が可決された場合には,裁判所は,第174条第2項(当該再生計画案が住宅資金特別条項を定めたものであるときは,第202条第2項)又は次項の場合を除き,再生計画認可の決定をする。
第2項 小規模個人再生においては,裁判所は,次の各号のいずれかに該当する場合にも,再生計画不認可の決定をする。
① 再生債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがないとき。
② 無異議債権の額及び評価済債権の額の総額(住宅資金貸付債権の額,別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び第84条第2項に掲げる請求権の額を除く。)が5000万円を超えているとき。
③ 前号に規定する無異議債権の額及び評価済債権の額の総額が3000万円を超え5000万円以下の場合においては,当該無異議債権及び評価済債権(別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権及び第84条第2項各号に掲げる請求権を除く。以下「基準債権」という。)に対する再生計画に基づく弁済の総額(以下「計画弁済総額」という。)が当該無異議債権の額及び評価済債権の額の総額の十分の一を下回っているとき。
④ 第2号に規定する無異議債権の額及び評価済債権の額の総額が3000万円以下の場合においては,計画弁済総額が基準債権の総額の五分の一又は100万円のいずれか多い額(基準債権の総額が100万円を下回っているときは基準債権の総額,基準債権の総額の五分の一が300万円を超えるときは300万円)を下回っているとき。
⑤ 再生債務者が債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨の記載をした場合において,再生計画に住宅資金特別条項の定めがないとき。

小規模個人再生において再生計画を認可してもらうためには,民事再生共通の不認可事由がないことだけではなく,さらに,「個人再生特有の不認可事由がないこと」も必要です。

個人再生に特有の不認可事由は,上記民事再生法231条2項各号に定められています。これらのうちの1つでもあると,やはり小規模個人再生の認可は受けられないのです。

具体的にいえば,個人再生特有の再生計画認可の要件として,以下の要件が必要であるということです。

>> 個人再生共通の再生計画認可の要件とは?

継続・反復して収入を得る見込みがあること

小規模個人再生特有の不認可事由の1つに「再生債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがないこと」があります。これに該当する場合には,再生計画は不認可となります。

この要件は「収入要件」とも呼ばれます。収入要件は,再生計画認可の要件であるだけでなく,再生手続開始の要件ともなっています。

つまり,再生手続の開始から再生計画の認可まで,収入要件は必要となるのです。

したがって,再生手続開始の時点で収入要件を満たしていても,再生計画認可決定の時点で収入要件を満たさなくなった場合,つまり,将来的に反復継続して収入を得る見込みがなくなった場合には,再生計画が不認可となります。

なお,この収入要件は,給与所得者等再生の場合でも再生計画認可の要件とされています。個人再生共通の認可要件なのです。

>> 継続・反復して収入を得る見込みとは?

再生債権総額が5000万円を超えていないこと

小規模個人再生特有の不認可事由の1つに「再生債権額が5000万円を超えていないこと」があります。これに該当する場合にも,再生計画は不認可となります。

この5000万円の限度額の要件も,再生計画認可の要件であるだけでなく,再生手続開始の要件にもなっています。

したがって,再生手続開始の時点では再生債権総額が5000万円を超えていなかったとしても,その後の債権調査の結果,利息遅延損害金その他の負債が判明し,決定時には5000万円を超えてしまっていたことが判明したという場合には,やはり再生計画は不認可となります。

なお,この5000万円の限度額の要件は,給与所得者等再生の場合でも再生計画認可の要件とされています。個人再生共通の認可要件です。

>> 債務額が5000万円を超えると個人再生は利用できないのか?

計画弁済総額が最低弁済基準を下回っていないこと

小規模個人再生特有の不認可事由の1つに「計画弁済総額が最低弁済額を下回っていないこと」があります。これに該当する場合にも,再生計画は不認可となります。

小規模個人再生においては,大幅な減額が可能とはいえ,無制限であると債権者に大きな不利益を与えすぎることになります。

そのため,再生債権者に過大すぎる不利益を与えないように,再生計画に基づく弁済金額の最低限度額が定められているのです。

その最低限度の金額のことを「最低弁済額」といいますが,この最低弁済額を下回る計画弁済総額を定めた再生計画は認可されません。最低弁済額は,以下のとおりです。

  • 無異議債権および評価済債権の総額が3000万円以下の場合で,かつ基準債権額が100万円未満の場合は,その基準債権額
  • 無異議債権および評価済債権の総額が3000万円以下の場合で,かつ基準債権額が100万円以上500万円未満の場合は,100万円
  • 無異議債権および評価済債権の総額が3000万円以下の場合で,かつ基準債権額が500万円以上1500万円未満の場合は,基準債権の5分の1の額
  • 無異議債権および評価済債権の総額が3000万円以下の場合で,かつ基準債権額が1500万円以上の場合は,300万円
  • 無異議債権および評価済債権の総額が3000万円を超え5000万円以下の場合には,その無異議債権等の10分の1以上の額

無異議債権とは,再生債権の認否に対して異議がなされなかった再生債権のことをいい,評価済債権とは,再生債権の評価手続によって確定された再生債権のことをいいます。

基準債権とは,無異議債権および評価済債権から別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権と民事再生法84条2項各号の債権を除いた債権のことをいいます。

したがって,住宅資金特別条項を利用する場合の住宅ローンの金額は,この無異議債権や基準債権には含まれません。

最低弁済基準額について,一応のめどとして簡単に考えるならば,以下のように考えることになるでしょう(住宅資金特別条項を利用する場合は対象となる住宅ローンの金額を債権額から除きます。)。

  • 債権額が100万円未満の場合は「その債権額」
  • 債権額が100万円以上500万円未満の場合は「100万円」
  • 債権額が500万円以上1500万円未満の場合は「債権額の5分の1の金額」
  • 債権額が1500万円以上3000万円未満の場合は「300万円」
  • 債権額が3000万円以上5000万円以下の場合は「債権額の10分の1の金額」
  • 債権額が5000万円を超える場合は「個人再生利用不可」

>> 個人再生における最低弁済額とは?

清算価値保障原則を充たしていること

個人再生においては,清算価値保障原則が適用されると解されています。清算価値保障原則とは,計画弁済総額は破産した場合の配当予想額を上回っていなければならないとする原則のことです。

具体的に言うと,計画弁済総額が持っている財産の換価価値の総額以上でなければならないということです。

したがって,破産した場合の配当予想額が最低弁済額を上回っている場合には,破産した場合の配当予想額の方を計画弁済総額としなければなりません。

例えば,最低弁済額が100万円であったとしても,破産の場合に換価対象となる財産の価値の総額が200万円であった場合には,計画弁済総額を200万円としなければならないということです。

>> 個人再生における清算価値保障原則とは?

住宅資金特別条項を利用している場合の不認可事由

なお,申立ての段階において,債権者一覧表に住宅資金特別条項を利用する意思があるという記載をしたにもかかわらず,再生計画に住宅資金特別条項の定めをしなかったという場合も,不認可事由となります。

>> 住宅資金特別条項とは?

小規模個人再生の再生計画認可要件のまとめ

以上をまとめると,再生計画認可の要件としては,以下の物が必要ということになります。

  • 再生計画案の決議が可決されたこと(不同意回答をした再生債権者が再生債権者の頭数総数の半数に満たず,かつ,不同意回答をした再生債権者の再生債権額が再生債権の総額の2分の1を超えていないこと)
  • 再生手続に不備を補正できない重大な法律違反がないこと
  • 再生計画に不備を補正できない法律違反がないこと
  • 再生計画遂行の見込みがあること
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立したものでないこと
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反していないこと
  • 再生債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること(収入要件)
  • 再生債権総額が5000万円を超えていないこと
  • 計画弁済総額が最低弁済基準を下回っていないこと
  • 清算価値保障原則を充たしていること
  • 債権者一覧表に住宅資金特別条項を利用する意思があるという記載をした場合には,再生計画に住宅資金特別条項を定めていること

>> 小規模個人再生の要件(まとめ)

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