任意整理にはどれくらいの費用がかかる?安く抑えるコツは?

債務整理の中でも、連帯保証人や担保がついているものは外すことができたり、裁判所での手続きを必要としない点で利用者が多いのが任意整理です。
では、任意整理をするにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
このページでは任意整理をするのにかかる費用と、これを安く抑えるためのコツについてお伝えします。

目次

任意整理とは

前提として、任意整理とはどのような手続きなのかを知っておきましょう。

任意整理とは

任意整理とは、貸金業者などの債権者と交渉をして、借金の返済について従来よりも有利な支払い条件としてもらう債務整理の手段をいいます。
借金返済ができなくなったときに、法律的な手段で借金返済を楽にすることを債務整理といっており、任意整理はその中の一つです。

他の債務整理手続きと比べた任意整理の特徴

債務整理にはほかにも、自己破産・個人再生という方法があります。
自己破産・個人再生の場合、連帯保証人や担保がついている債務についても手続きの対象となるので、連帯保証人に対して請求される・担保になっているものを取り上げられてしまう、といった事が発生します。
しかし、任意整理は債権者と個別に債務整理について交渉をするので、連帯保証人がいる債務・担保がついている債務を外して債務整理をすることができます。
また、個別に交渉をするので、自己破産・個人再生のように裁判所に申し立てをする必要がないので、手続きが簡単に終わります。

任意整理にかかる手続き費用

任意整理をすること自体には、費用はかかりません。
裁判等に申し立てをして行うものではなく、金融機関でも任意整理のために手数料を請求するということはありません。
そのため、任意整理にかかる費用としては弁護士や司法書士に依頼するための費用を検討することになります。

任意整理にかかる弁護士・司法書士費用

任意整理にかかる弁護士・司法書士費用はいくらくらいでしょうか。

弁護士・司法書士費用の種類

弁護士・司法書士費用といっても、細かく次のような種類があります。
相談料
着手金
成功報酬
その他の費用
また、通常は成功報酬と呼ぶのですが、案件が解決したことに対して固定で請求する解決報酬金と、減額に成功した分の減額報酬とに分けて考えることになります。

相談料

弁護士や司法書士に相談をする際には、通常は相談料がかかります。
弁護士が行う相談のことを法律相談というので法律相談料と呼ぶことがあったり、ほかにも借金相談料と呼ぶこともあります。
相談料の相場は30分5,000円程度が相場なのです。
ただ、借金をしていて返済できなくなっているからこそ相談するのであるので、債務整理に注力している弁護士・司法書士であれば相談料を無料としていることがほとんどです。

着手金

弁護士・司法書士に案件を依頼する場合には着手金がかかります。
着手金については1社あたり2万円~5万円程度が相場となります。
なお、債権者が商工ローン・ヤミ金融である場合には、金額が増えることもあります。
この費用は任意整理で交渉する相手の数に応じて支払うものになるので、3社と任意整理をすることになった場合には、3社分支払うことになります。

成功報酬

弁護士・司法書士が依頼を受け任意整理について、債権者と交渉をして支払い条件をまとめた後に支払う報酬のことを成功報酬といいます。
任意整理についての成功報酬は次の2種類に分かれます。

解決報酬金

任意整理が成功したことに対する成功報酬のうち、減額の有無・額に関わらず固定で発生する費用が解決報酬金です。
1社あたり0円~2万円が請求されます。

減額報酬

任意整理において借金が減額した場合に支払うのが成功報酬です。
任意整理をする際に、過去に利息制限法を超える利息で借り入れをしていた場合、今ある借金が減額されることがあります。
この場合に、減額分に一定の割合を掛けた金額が、減額報酬として請求されます。
減額報酬の相場は0円~減額分の10%です。
例えば、減額報酬が10%となっている場合で30万円の減額をすれば、「30万円×10%=3万円」が減額報酬となります。

過払い金があった場合

利息制限法を超える利息で借り入れをしていた利息が現在の残高よりも多いような場合には、過払い金請求が可能です。
任意整理を依頼した結果、過払い金を取得した場合には、別途過払金報酬金の支払いが必要です。
過払金報酬金の相場は、0円~取り戻した額の20%(裁判で取り戻した場合には25%)が相場となります。

その他の費用

弁護士・司法書士に対する費用の他には次のような費用の支払いについて確認しておきましょう。
実費(電話代や郵送費用・裁判の場合には裁判所までの交通費など):5000円程度
裁判を起こされた場合の日当:半日で1万円程度
実費についてはかかったお金を記録して成功報酬と一緒に請求される場合もあれば、概算を着手金と一緒に請求される場合もあるので、弁護士・司法書士に確認してみてください。

費用を安くするには?

弁護士・司法書士に対する費用を安くするコツはあるのでしょうか?

無料で相談をする

相談は無料で行うようにしましょう。
上述もしたように、弁護士・司法書士に相談する場合には30分5,000円程度の相談料がかかります。
しかし、市区町村で弁護士に無料相談ができるほか、収入が一定以下の場合には法テラスで無料で弁護士に相談ができます。
ただ、これらの相談は30分程度と非常に短い時間であるほか、債務整理に消極的な弁護士にあたると、適切な回答を得られない可能性が高いです。
こちらも上述したように、債務整理に注力している弁護士・司法書士は、債務者の手持ちが少ないという状況には理解があるので、相談は無料でできることがほとんどです。
そのため、無料相談を上手に利用するようにしましょう。

法テラスを利用する

法テラスを利用しましょう。
法テラスを利用すれば、上述したように無料で相談ができるほか、着手金を立て替えてくれる民事法律扶助という制度の利用ができます。
これらを利用すれば、相談は無料で行え、立て替えてもらった弁護士・司法書士への報酬は、月5,000円~の分割で済みます。
法テラスに直接相談しても良いですし、弁護士・司法書士が法テラスと契約を結んでいる場合には、弁護士・司法書士に依頼するときに法テラスの民事法律扶助を利用してもらえます。
利用については、世帯によって異なる収入要件があるので、詳しくは法テラスのホームページで確認してください。

弁護士ではなく司法書士に依頼する

ここまでお伝えしてきた通り、任意整理については弁護士だけではなく、司法書士にも業務を依頼することができます。
司法書士は弁護士法72条に規定されている例外として、債務整理を行うことができるのですが、任意整理に関して言うと140万円を超える案件の依頼を受任や、訴訟を起こされた場合の控訴審などで制限があります。
そのため、弁護士よりも司法書士のほうが一般的には費用が安いことがあります。
ただし、具体的に比較をすると、司法書士のほうが費用が高いということもあるので、最後にきちんと費用を比べるようにしましょう。

自分で任意整理はできる?

自分で任意整理をすることは法律上は禁止されていません。
そのため、貸金業者と話し合うことは可能です。
しかし、貸金業者は個人からの任意整理の申し出に対しては、厳しい対応をとることが多く、かえって不利な立場になる可能性があります。
また、弁護士・司法書士に依頼すれば、貸金業法で本人に請求ができなくなるようになっています。
そのため、弁護士・司法書士に依頼して任意整理をするようにしましょう。

特定調停を利用する

特定調停を利用することも考えましょう。
特定調停とは、借金に関する支払い条件を軽くすることを目的とする、裁判所で行われる調停手続きです。
特定調停は債権者ごとに調停を起こして借金返済を軽くしてもらうことができ、実質的には任意整理と同様に使うことができます。
また、この手続き弁護士・司法書士を介さないで行うもので、弁護士・司法書士に対しての費用をかけずに行うことができます
しかし、裁判所での手続きが必要であるほか、調停委員が必ず有利な内容に導いてくれるとも限らない上に、調停調書が作成されるので返済が遅れるとすぐに強制執行をすることができるようになるという点でも、債務者にとって不利なものであることに注意が必要です。

着手金は分割にしてもらえる

弁護士・司法書士に任意整理を依頼する場合には、着手金がかかります。
2万円~5万円程度が相場なので、3社分依頼するような場合には5万円×3社=15万円程度がかかることを考えておかなければなりません。
通常これらの金額を一括で支払うのは困難なのですが、債務整理に注力している弁護士・司法書士であれば、分割で支払うことも容認しています。
依頼をしてしませば、債権者に対する支払いは、任意整理後になるので、毎月返済のためにまわしていたお金を弁護士・司法書士費用に回すような形で支払うことが可能です。

無理に任意整理をするのではなく自己破産や個人再生も検討する

無理に任意整理をするのではなく、自己破産や個人再生も検討しましょう。
弁護士・司法書士に対する費用が気になるということは、返済がかなり厳しいことが想定されます。
任意整理は3年~5年程度の長期間で返済を行うもので、その間には冠婚葬祭や家賃の更新料の支払いなどが発生することもあります。
このようなことがきっかけで返済ができなくなってしまうと、再度債務整理をやりなおすことになり、また弁護士に依頼する必要があります。
自己破産をすれば借金は免責されますし、個人再生をすれば任意整理よりも大幅に債務の返済が楽になります。
ギリギリの状態で弁護士・司法書士に対する費用の支払いを安くするのみならず、トータルで払う金額が少なくなる自己破産や個人再生の利用も検討しましょう。

まとめ

このページでは任意整理にはどれくらいの費用がかかるか、についてを中心にお伝えしました。
債権者それぞれと交渉して借金返済を楽にする任意整理は、裁判所への申し立てをしない分費用は安価です。
分割払いが可能な弁護士・司法書士もいるので上手に利用するようにしましょう。

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この記事を書いた人

神奈川大学法学部法律学科卒
2007年旧司法試験短答式・行政書士試験合格
2007年より法律事務所で勤務債務整理事務に従事
2018年より法律系を中心に解説記事の執筆をはじめる
相続・FX・旅行やグルメなども得意分野

債務整理に従事した経験から弁護士・司法書士に依頼する人の不安をなくしたいと考えています。

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