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個人再生の申立て

給与所得者再生固有の再生計画認可要件・不認可事由とは?

給与所得者等再生の再生計画が認可されるための給与所得者等再生に固有の再生計画認可要件としては,①再生計画が再生債権者の一般の利益に反しないこと,②債務者が変動の幅の少ないと見込まれる給与またはこれに類する定期的な収入を得ていること,③過去の給与所得者等再生の再生計画が遂行された場合の当該再生計画認可決定確定日,ハードシップ免責がされた場合の当該再生計画認可決定確定日,破産免責許可決定確定日から7年以内にされた申立てでないこと,④計画弁済総額が可処分所得額の2年分以上であること,があります。

ここでは,この給与所得者再生固有の再生計画認可要件・不認可事由について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

給与所得者等再生の再生計画認可の要件

民事再生法 第241条

第2項 裁判所は,次の各号のいずれかに該当する場合には,再生計画不認可の決定をする。
① 第174条第2項第1号又は第2号に規定する事由(再生計画が住宅資金特別条項を定めたものである場合については,同項第1号又は第202条第2項第2号に規定する事由)があるとき。
② 再生計画が再生債権者の一般の利益に反するとき。
③ 再生計画が住宅資金特別条項を定めたものである場合において,第202条第2項第3号に規定する事由があるとき。
④ 再生債務者が,給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者に該当しないか,又はその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないとき。
⑤ 第231条第2項第2号から第5号までに規定する事由のいずれかがあるとき。
⑥ 第239条第5項第2号に規定する事由があるとき。
⑦ 計画弁済総額が,次のイからハまでに掲げる区分に応じ,それぞれイからハまでに定める額から再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用の額を控除した額に2を乗じた額以上の額であると認めることができないとき。
イ 再生債務者の給与又はこれに類する定期的な収入の額について,再生計画案の提出前2年間の途中で再就職その他の年収について5分の1以上の変動を生ずべき事由が生じた場合  当該事由が生じた時から再生計画案を提出した時までの間の収入の合計額からこれに対する所得税,個人の道府県民税又は都民税及び個人の市町村民税又は特別区民税並びに所得税法 (昭和40年法律第33号)第74条第2項に規定する社会保険料(ロ及びハにおいて「所得税等」という。)に相当する額を控除した額を1年間当たりの額に換算した額
ロ 再生債務者が再生計画案の提出前2年間の途中で,給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者でその額の変動の幅が小さいと見込まれるものに該当することとなった場合(イに掲げる区分に該当する場合を除く。)  給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者でその額の変動の幅が小さいと見込まれるものに該当することとなった時から再生計画案を提出した時までの間の収入の合計額からこれに対する所得税等に相当する額を控除した額を1年間当たりの額に換算した額
ハ イ及びロに掲げる区分に該当する場合以外の場合  再生計画案の提出前2年間の再生債務者の収入の合計額からこれに対する所得税等に相当する額を控除した額を2で除した額
第3項 前項第7号に規定する1年分の費用の額は,再生債務者及びその扶養を受けるべき者の年齢及び居住地域,当該扶養を受けるべき者の数,物価の状況その他一切の事情を勘案して政令で定める。

個人再生の手続は,再生債務者が作成する再生計画が裁判所によって認可されなければ意味がありません。再生計画が認可されれば,それに従って再生債権者に対して弁済をしていくことになります。

もっとも,給与所得者等再生再生計画が認可されるためには,民事再生全般に共通する不認可事由がないこと個人再生に共通する不認可事由がないこと,さらには,給与所得者等再生に固有の不認可事由がないことが必要となります。

給与所得者等再生に固有の不認可事由としては,以下のものがあります。

これらの不認可事由が1つでもあると,給与所得者等再生の再生計画は認可されません。

言い換えると,給与所得者等再生の再生計画を認可してもらうためには,給与所得者等再生固有の要件として,以下の要件が必要となるということです。

  • 再生計画が再生債権者の一般の利益に反しないこと
  • 債務者が給与またはこれに類する定期的な収入を得ていること
  • 定期的な収入の額の変動の幅が小さいことが見込まれること
  • 過去の給与所得者等再生の再生計画が遂行された場合の当該再生計画認可決定確定日,ハードシップ免責がされた場合の当該再生計画認可決定確定日,破産免責許可決定確定日から7年以内にされた申立てでないこと
  • 計画弁済総額が可処分所得額の2年分以上であること

>> 給与所得者等再生の再生計画認可要件・不認可事由とは?

再生計画が再生債権者の一般の利益に反しないこと

前記のとおり,給与所得者等再生の再生計画認可のための要件の1つとして,「再生計画が再生債権者の一般の利益に反しないこと」が挙げられます(民事再生法241条2項2号)。

個人再生の手続は,小規模個人再生であれ給与所得者等再生であれ,再生債権者の利益を図るための手続でもありますから,その再生債権者の一般の利益に反するような再生計画を認可することは,個人再生手続の趣旨に反します。

そのため,「再生計画が再生債権者の一般の利益に反しないこと」が再生計画認可の要件として挙げられているのです。

具体的に言うと,「再生計画が再生債権者の一般の利益に反しない」かどうかは,個人再生よりも,破産手続など別の倒産手続をとった方が,再生債権者に利益を与えるものであるかどうかによって,判断されると解されています。

ただし,「再生計画が再生債権者の一般の利益に反しない」かどうかは,「債権者が再生計画に同意する見込みの有無によってではなく,想定される弁済率,弁済期及び弁済期間等を総合的に検討して,総債権者の得られる利益の有無によって判断されるべき問題」であり,「債権者全体の利益を考慮すべきであって,個々の債権者や特定の債権者集団の利益や意向のみを考慮すべきでは」ないと解されています(名古屋高等裁判所平成26年1月17日決定参照)。

この「再生計画が再生債権者の一般の利益に反しないこと」の要件から生じる原則の1つが,清算価値保障原則です。

清算価値保障原則とは,再生計画における弁済率が破産における場合の配当率以上でなければならないとする原則のことをいいます。

この清算価値保障原則に反する場合には,再生計画が再生債権者の一般の利益に反するものとなり,再生計画が不認可となります。

>> 給与所得者等再生の認可要件である再生債権者一般の利益とは?

変動幅の小さいと見込まれる給与等定期的な収入を得ていること

前記のとおり,給与所得者等再生の再生計画認可のための要件の1つとして,「債務者が給与またはこれに類する定期的な収入を得ていること」および「その定期的な収入の額の変動の幅が小さいことが見込まれること」が挙げられます(民事再生法241条2項4号)。

給与所得者等再生では,再生債権者による再生計画案の決議が行われません。つまり,裁判所が再生計画認可要件を充たしていると判断すれば,再生債権者の意向にかかわらず,再生計画が認可されるということです。

なぜ再生計画案の決議なしに再生計画を認可できるかといえば,再生債務者が可処分所得の2年分以上を弁済し,かつ,それを確実に弁済できるだけの安定した定期的収入があるため,再生計画案の決議をしなくても,再生債権者に利益を与えるものとなることが想定できるからです。

そのため,「債務者が給与またはこれに類する定期的な収入を得ていること」および「その定期的な収入の額の変動の幅が小さいことが見込まれること」が,給与所得者等再生における再生計画認可の要件とされているのです。

なお,定期的な収入の変動の幅が小さいと言えるかどうかの一般的な基準として,可処分所得算定の基礎となる過去2年の間において,収入に5分の1(20パーセント)以上の変動があったかどうか,という基準が用いられています。

ただし,この基準は絶対のものではありません。具体的な事情によっては,20パーセント以上の変動があったとしても,収入の変動の幅が小さいと判断されることもあり得ます。

>> 給与所得者等再生において求められる定期的な収入とは?

過去7年以内に再生計画認可決定等が確定していないこと

民事再生法 第239条 第5項

前項に規定する場合のほか,裁判所は,第2項の申述があった場合において,次の各号のいずれかに該当する事由があることが明らかであると認めるときは,再生手続開始の決定前に限り,再生事件を小規模個人再生により行う旨の決定をする。ただし,再生債務者が第3項本文の規定により小規模個人再生による手続の開始を求める意思がない旨を明らかにしていたとき,裁判所は,再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
② 再生債務者について次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において,それぞれイからハまでに定める日から7年以内に当該申述がされたこと。
イ 給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
ロ 第235条第1項(第244条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
ハ 破産法第252条第1項に規定する免責許可の決定が確定したこと 当該決定の確定の日

前記のとおり,給与所得者等再生の再生計画認可のための要件の1つとして,「過去の給与所得者等再生の再生計画が遂行された場合の当該再生計画認可決定確定日,ハードシップ免責がされた場合の当該再生計画認可決定確定日,破産免責許可決定確定日から7年以内にされた申立てでないこと」が挙げられます(民事再生法241条2項6号)。

給与所得者等再生は,再生債権者の意向によらずに再生計画認可決定がなされる可能性のある手続ですから,ある意味では,債務者にとって非常に強力な手続であり,その反面,再生債権者にとっては非常に不利益な手続であるともいえます。

また,個人再生におけるハードシップ免責や破産における免責不許可事由に至っては,残っている債務をすべて帳消しにしてしまうのですから,再生債権にとって大きな不利益の生じるものです。

このような再生債権者に不利益を被らせる手続を何度も行えるとしたのでは,再生債権者にとってあまりに酷です。

そこで,給与所得者等再生を申し立てる時点において,以下の事情がある場合には,給与所得者等再生を利用できないものとしているのです。

  • 過去に給与所得者等再生の再生計画が認可されて,その再生計画が遂行されたことがある場合,現在の給与所得者等再生の申立ての時点において,その過去の手続において再生計画認可決定が確定してから7年を経過していない場合(民事再生法239条5項2号イ,241条2項6号)。
  • 過去に小規模個人再生または給与所得者等再生の再生計画が認可されて,その再生計画が遂行され,民事再生法235条1項の免責(ハードシップ免責)の決定を受けたことがある場合,現在の給与所得者等再生の申立ての時点において,その過去の手続においてハードシップ免責決定が確定してから7年を経過していない場合(民事再生法239条5項2号ロ,241条2項6号)。
  • 過去に破産手続における免責許可決定を受けたことがある場合,現在の給与所得者等再生の申立ての時点において,その過去の手続において免責許可決定が確定してから7年を経過していない場合(民事再生法239条5項2号ハ,241条2項6号)。

>> 過去に再生計画認可決定等を受けた場合でも給与所得者等再生を利用できるか?

計画弁済総額が可処分所得の2年分以上であること

前記のとおり,給与所得者等再生の再生計画認可のための要件の1つとして,「計画弁済総額が可処分所得額の2年分以上であること」が挙げられます(民事再生法241条2項7号)。

可処分所得とは,平均年収額から再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要となる所得のことをいいます。

給与所得者等再生においては,この可処分所得の2年分以上の額を計画弁済総額としなければなりません。

具体的には,給与所得者等再生における可処分所得は,以下の方法によって算定された1年分の金額から,再生債務者とその被扶養者の最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用の額を控除した額に2を乗じた額以上の額でなければならないとされています。

  • 再生債務者の給与またはこれに類する定期的な収入の額について,再生計画案の提出前2年間の途中で再就職その他の年収について5分の1以上の変動を生ずべき事由が生じた場合には,当該事由が生じた時から再生計画案を提出した時までの間の収入の合計額からこれに対する所得税・個人の道府県民税または都民税と個人の市町村民税または特別区民税・社会保険料に相当する額を控除した額を1年間当たりの額に換算した額
  • 上記の場合を除いて,再生債務者が再生計画案の提出前2年間の途中で,給与またはこれに類する定期的な収入を得ている者でその額の変動の幅が小さいと見込まれるものに該当することとなった場合には,給与またはこれに類する定期的な収入を得ている者でその額の変動の幅が小さいと見込まれるものに該当することとなった時から再生計画案を提出した時までの間の収入の合計額からこれに対する所得税・個人の道府県民税または都民税と個人の市町村民税または特別区民税・社会保険料に相当する額を控除した額を1年間当たりの額に換算した額
  • 上記2つの場合以外の場合には,再生計画案の提出前2年間の再生債務者の収入の合計額からこれに対する所得税・個人の道府県民税または都民税と個人の市町村民税または特別区民税・社会保険料に相当する額を控除した額を2で除した額

なお,「再生債務者とその被扶養者の最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用の額」は,再生債務者及びその扶養を受けるべき者の年齢及び居住地域,当該扶養を受けるべき者の数,物価の状況その他一切の事情を勘案して政令(民事再生法第241条第3項の額を定める政令)で定めるものとされています(民事再生法241条3項)。

この可処分所得の2年分の額は,生活や収入の状況によっては,非常に高額となってしまう場合があります。

したがって,給与所得者等再生を検討する場合には,この可処分所得の2年分の額をあらかじめ算定・吟味して,手続選択を判断する必要があるでしょう。

>> 給与所得者等再生における可処分所得とは?

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