民事再生手続(再生手続)とは?
民事再生手続(再生手続)とは,「経済的に窮境にある債務者について,その債権者の多数の同意を得,かつ,裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により,当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し,もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ること」を目的とする手続です(民事再生法1条)。再生手続には,個人や小規模事業者でも利用しやすいように手続を簡素化した「小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則」が設けられています(民事再生法13章)。この特則に基づく再生手続のことを「個人再生(個人民再生)」と呼んでいます。
債務整理の方法の1つである「個人再生」は,民事再生手続の個人版ともいうべき手続です。ここでは,この民事再生手続とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
(著者 : 弁護士 志賀 貴 )
民事再生手続(再生手続)とは
倒産手続には,その基本となる破産手続の他にもさまざまな手続があります。その倒産手続の1つに「民事再生手続(再生手続)」があります。
民事再生手続は,民事再生法という法律で定められています。
民事再生法は,その第1条で,「この法律は,経済的に窮境にある債務者について,その債権者の多数の同意を得,かつ,裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により,当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し,もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ること」を目的とすると定めています。
すなわち,民事再生手続とは,債務者が,自ら自己を再建させるための計画を債権者に示し,その再生計画について債権者の同意を得て,さらに裁判所の認可をもらい,その計画に従って,経済的更生を図っていこうという手続です。
>> 民事再生法とは?
他の倒産手続と民事再生手続の違い
破産手続は,清算型と呼ばれる類型の倒産手続です。債務を清算するだけでなく,資産も清算することになります。
言うなれば,いったんすべてをリセットして,新たな再出発をすることによって経済的更生を図ろうとする制度です。
破産手続では,資産も処分することになりますので,たとえば,事業者であれば,基本的に事業は廃止ということになるでしょう。
これに対し,民事再生の場合には,債務のすべてをリセットすることはできませんが,代わりに,一定の資産は残すことができます。
したがって,事業規模は縮小される場合があるとしても,事業自体を継続することが可能です。
事業の継続を前提とする倒産手続としては,再生手続のほかに会社更生手続(更生手続)があります。会社更生は,株式会社のみに適用されるものですが,民事再生手続は,株式会社以外も利用することが可能です。
また,会社更生手続の場合,債権者の意向に左右されにくいなど,民事再生よりも強力な効果を持っていますが,経営陣は基本的に退陣が求められます。
これに対して,民事再生の場合には,債権者の意向が大きく影響してくるものの,経営陣の継続が可能とされています。
その意味では,会社更生よりも柔軟で,経営陣の継続も含めて,事業の継続性が認められやすいという特徴があります。
>> 倒産法・倒産手続とは?
個人の民事再生(個人再生)
民事再生手続は,基本的に事業者,特に一定規模以上の法人を想定して設けられた手続です。
そのため,手続や法律要件もかなり複雑です。加えて,個人(自然人)や小規模の個人事業者が民事再生を利用しようという場合に最大のネックとなっていたのが,費用です。
民事再生手続を利用する場合には,裁判所に予納金を納める必要があります。民事再生の場合,その予納金が,かなり高額であるという点がネックとなり,個人が利用することはほとんどないのが現状でした。
もっとも,民事再生は,自己破産をせずに経済的更生が可能となるという点で,個人の債務整理の手段としても有用であることは疑いありません。
そこで,民事再生手続を個人や小規模事業者でも利用しやすいように,手続を簡易化して費用を抑えることができるようにした手続が「個人再生(個人民事再生)」の手続です。
個人再生は,民事再生法第13章の「小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則」として規定されています。
この個人再生手続の創設により,会社・大規模法人ではない個人や小規模事業者の方でも,民事再生手続を利用できるようになりました。
現在では,債務整理の手段の1つとして,この個人再生により,多くの方が民事再生手続を利用しています。
個人再生と通常の民事再生の違い
前記のとおり,個人再生は,個人や小規模事業者でも利用可能にするために,通常の民事再生(通常再生)よりも手続が簡易化されています。
例えば,個人再生の場合,再生債権は,再生手続における裁判所の評価によって手続内でのみ確定するものとされており,通常民事再生のように厳格な手続に基づいて実体的に確定させるものとはされていません。
また,個人再生の場合には,再生債務者が提出した債権者一覧表に記載されている債権者は,再生債権を届出しなくても,債権届出をしたものとみなされます。
再生計画の決議も大幅に簡素化され,個人再生の場合には,常に書面決議とされています。
しかも,通常民事再生のように一定数以上の積極的な同意がなければ可決されないとはされず,一定数以上の不同意が提出されなければ再生計画は可決したものとみなされることになっています。
その上,個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2種類の手続がありますが,決議が行われるのは小規模個人再生だけです。給与所得者等再生の場合には決議自体が省略されています。
再生計画認可後も,通常民事再生であれば,監督委員が再生計画に基づく履行の監督を行ないますが,個人再生の場合には,再生計画認可の確定によって手続が当然に終了となり,履行の監督は行われません。
ほかにも多くの点で個人再生手続は通常民事再生手続よりも手続きの簡素化がなされており,そのため,個人や小規模個人事業者でも利用しやすいものとなっているのです。
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