借り換えした住宅ローンでも住宅資金特別条項を利用できるか?
借り換えをした住宅ローンであっても,住宅資金貸付債権に該当すると解されているので,個人再生の住宅資金特別条項を利用することが可能です。
ここでは,借り換えした住宅ローンでも住宅資金特別条項を利用できるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
(著者 : 弁護士 志賀 貴 )
住宅資金貸付債権とは
個人再生には,住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という特別な制度が設けられています。
住宅資金特別条項の利用が認められると,住宅ローンなどの「住宅資金貸付債権」だけは,従前どおり(または若干リスケジュールをして)支払いを継続することにより,住宅を競売などによって処分されるのを回避しながら,住宅ローン以外の借金を個人再生によって減額・分割払いにしてもらうことが可能になります。
この住宅資金特別条項の対象になる住宅資金貸付債権とは,以下の要件を充たす債権のことです。
- 住宅の建設・購入に必要な資金(住宅の用に供する土地・借地権の取得に必要な費用も含む。)または住宅の改良に必要な資金の貸付けであること
- 分割払いの定めのある貸付けであること
- 再生債権であること
- 当該再生債権またはその再生債権の保証会社の主債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されていること
住宅資金貸付債権として典型的なものは,住宅ローン債権ですが,上記の要件を充たす債権であれば,住宅資金貸付債権に該当し,住宅資金特別条項の対象になります。
>> 住宅資金貸付債権とは?
借り換えした住宅ローンの場合
住宅ローンを組んで住宅を建設・購入した後に,利息を低くするためなどの理由から,住宅ローンを借り換えて,新しく借りた住宅ローンのお金で古い住宅ローンを完済する,ということがあります。
上記のとおり,住宅資金貸付債権は,「住宅の建設・購入に必要な資金(住宅の用に供する土地・借地権の取得に必要な費用も含む。)または住宅の改良に必要な資金の貸付けであること」が必要です。
そうすると,借り換え後の新たな住宅ローンは,住宅の建設や購入のための資金の貸付けではないので,住宅資金貸付債権にあたらず,住宅資金特別条項を利用できないようにも思えます。
しかし,借り換えの場合,新たな住宅ローン借入金は,そのまま古い住宅ローン残額に充てられるだけです。言ってみれば,古い住宅ローンと新たな住宅ローンが入れ替わったにすぎません。
そのため,借り換えをした住宅ローンであっても,住宅資金貸付債権に該当すると解されています。
したがって,借り換えをした住宅ローンであっても,住宅資金特別条項を利用することは可能です。
借換え時の諸費用も住宅ローンに含まれている場合
借り換えをする際,過去の住宅ローン残高だけでなく,借り換えのために必要となる諸費用などを含めて新たな住宅ローンとして組みなおすことがあります。
この場合,新たな住宅ローンのうち,古い住宅ローン残額の借り換え部分は住宅資金貸付債権に当たりますが,諸費用などが新たな住宅ローンに含まれている場合,その諸費用部分は,厳密に言えば住宅資金貸付債権に当たりません。
諸費用ローンは,住宅の建設・購入・改良に必要な資金の貸付けとは言えないからです。
したがって,諸費用ローンが組み入れられている場合には,住宅資金特別条項を利用できないのが原則です。
ただし,諸費用ローンが組み入れられている場合であっても,その諸費用ローンの使途が住宅の購入や建設に密接に関連する資金であり,金額も住宅資金そのものの借入れに比べて僅少であるような場合には,住宅資金貸付債権として扱うことができると解されています。
そのため,借り換え時の諸費用も新たな住宅ローンに含まれている場合であっても,諸費用の内容や金額によっては,住宅資金特別条項を利用することが可能です。
>> 諸費用ローンがあっても住宅資金特別条項は利用できるか?
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