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債務整理(全般)

最高裁判所第三小法廷平成24年2月6日決定

法務大臣の許可を受けていない無許可業者による債権回収について,サービサー法違反による刑罰の適用を認めた判決として,最高裁判所第三小法廷平成24年2月6日決定があります。ここでは,この最三小決平成24年2月6日ついてご説明いたします。

債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)

債権回収業務は,原則として,弁護士にのみ認められた法律事務です。

もっとも,不良債権処理の必要性から,弁護士法の特例として,「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」により,法務大臣の許可を受けた株式会社のみ債権回収業務を行うことができるとされています(同法3条)。

この債権の管理回収を行う会社のことを「債権回収会社(サービサー)」といいます。

法務大臣の許可を受けずに債権回収を業として行った場合,サービサー法3条違反として,同法33条1号により,3年以下の懲役または300万円以下の罰金,あるいはその両方の刑罰を科されることになります。

つまり,犯罪となるということです。

今回ご紹介する最高裁判所第三小法廷平成24年2月6日決定(最三小決平成24年2月6日)は,このサービサー法33条1号・3条違反行為を有罪とした最高裁決定です。

この債務整理・過払い金ネット相談室でご紹介している判例は基本的に民事事件の最高裁判例ですが,この最高裁決定は刑事事件のものです。

もっとも,債務整理においても,無許可業者による債権回収行為の問題は少なくありませんので,刑事事件の判決ですがご紹介させていただきます。

最三小決平成24年2月6日

事案の概要

最三小決平成24年2月6日の事案は,決定文によれば以下のような事案です。

被告人会社らは,法務大臣の許可を得ていないにもかかわらず,消費者金融から債権額の6~7%の金額で大量に不良債権を買い取り,債権回収を業として行っていた業者らです。

被告人会社が買い取った債権の多くが,引き直し計算をすれば過払いになっていたり,消滅時効期間を経過しているような債権で,売り主である消費者金融側ではすでに貸倒れの処理がとられている債権でしたが,被告人会社らをそれを承知の上で買い取り,引き直し計算をせずに債務者に請求をしていました。

そして,その上で,10日以内に支払わなければ全額集金に訪問に行くか強制執行をするなどと記載した書面を送付して電話で督促をし,勤務先にも督促状を送付したり,配達員を装って電話をさせて支払いを要求するなどをしていたというものです。

このような事案は正直少なくありません。要するに,貸倒れになっている債権を大幅な割引価格で買い取って,脅迫的・威圧的な方法で債務者から無理矢理に取り立てて利益を得ようという手法です。

被告人らの主張

明らかにサービサー法に違反する手法ですから,有罪となるのも当然ですが,これに対して,被告人会社らは,最終的には債務者が支払ってきているのだから事件性がなく,訴訟・調停・和解などの手段で回収したものではないからサービサー法2条2項後段の「債権管理回収業」に当たらないこと,社会的経済的に正当な業務の範囲内であるから違法性が阻却されることなどを主張していたとのことです。

サービサー法は,「債権管理回収業」を規制する法律です。この「債権管理回収業」とは何かということは,サービサー法2条2項に定義されています。

同項後段は,「他人から譲り受けて訴訟,調停,和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業」をいうとしています。

本件被告人らは,消費者金融から譲り受けたものではあるが,債務者が勝手に支払ってきただけなので,訴訟・調停・和解等をして回収したわけではないから,同項後段の「債権管理回収業」に該当せず,したがって,サービサー法の適用の範囲外であるから,同法違反もあり得ないという主張をしていたものと思われます。

また,刑事法の理論では,犯罪が成立するためには,単に条文の規定(構成要件)に該当しているというだけでは足りず,違法性阻却事由がないことが必要となってきます。

この違法性阻却事由の1つに,正当業務行為というものがあります。本件被告人らも,被告人らが行った債権回収は正当業務行為なので,違法性が阻却され,したがって犯罪は成立しないという主張をしています。

決定の内容

上記被告人らの主張に対し,最高裁判所第三小法廷は以下のとおり判示し,その主張を排斥しています。

所論は,サービサー法3条の法務大臣の許可を受けずに行った本件債権の管理回収に関する営業について,①本件債権には事件性がないし,「訴訟,調停,和解その他の手段」によって回収したものではないから,サービサー法2条2項後段には該当しない,②社会的経済的に正当な業務の範囲内であるから違法性が阻却されると主張する。

しかし,被告会社が譲り受けた本件債権は,長期間支払が遅滞し,譲渡元の消費者金融業者において全て貸倒れ処理がされていた上,その多くが,利息制限法にのっとって元利金の再計算を行えば減額され又は債務者が過払いとなっており,債務者が援用すれば時効消滅となるものもあったなど,通常の状態では満足を得るのが困難なものであるところ,被告人らは,本件債権に関し,取立てのための請求をし,弁済を受けるなどしていたのであるから,本件債権の管理回収に関する営業は,サービサー法2条2項後段の「他人から譲り受けて訴訟,調停,和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業」に該当するといえる。したがって,法務大臣の許可を受けないで,本件債権を譲り受けてその管理回収業を営んだ行為は,サービサー法33条1号,3条に該当すると解するのが相当である。また,前記のような被告会社の業務態様に照らしても,本件の無許可営業について,所論のように社会的経済的に正当な業務の範囲内のものと見る余地はなく,違法性を阻却するような事情は認められない。

以上によれば,本件債権の管理回収に関する営業について,サービサー法33条1号,3条の罪の成立を認めた原判断は相当である。

→ 上記決定の全文(裁判所HP)

上記決定は,すでに過払いとなっていたり消滅時効期間が経過していたりなど通常の方法で回収できないような債権を,取立てのために請求して弁済を受けていたのであるから,訴訟などを行って回収するのと同様でありサービサー法2条2項後段に該当するとし,また,被告人らの業務態様などからしても正当業務行為とみる余地はないとして,被告人らの主張を一蹴しています。

この事案のような,いってみればヤミサービサーのような業者は少なくありませんが,この最高裁決定が出されたことで取り締まりが厳しくなっていくこを期待しています。

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