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過払い金返還請求

アコムに対する最一小判平成23年12月15日

リボルビング方式貸付において17条書面として交付する書面に返済期間・返済金額に準ずる記載がない場合は,平成17年判決以前でも特段の事情があるとはいえないから,アコムは悪意の受益者であるとした判例として,最高裁判所第一小法廷平成23年12月15日判決があります。ここでは,この判決について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

平成23年12月の3つの判例

過払い金利息を付けて請求できるか,つまり,貸金業者が悪意の受益者に当たるかという論点について,平成23年12月,最高裁判所第一小法廷は,3つの判決を言い渡しました。

3つの判決とは,同月1日のCFJに対する最一小判平成23年12月1日・平成23年(受)第307号プロミスに対する最一小判平成23年12月1日・平成23年(受)第407号,そして,同月15日のアコムに対する最一小判平成23年12月15日の3つです。

この3つの判例は,それぞれ貸金業者はCFJ・プロミス・アコムと異なっていますが,いずれもリボルビング方式貸付の場合が問題となっており,基本的な判断の枠組みは同じです。

また,結論として,いずれの判決も,それぞれの貸金業者について悪意の受益者であると判断をしています。

このうちの,アコム対する判決,最高裁判所第一小法廷平成23年12月15日判決(最一小判平成23年12月15日)について,ご説明いたします。

最一小判平成23年12月15日

最一小判平成23年12月15日は,以下のとおり判示しています(以下の引用は抜粋。なお,原文については,名古屋消費者信用問題研究会のホームページに挙げられています。)。

(1)貸金業法17条1項6号及び貸金業法施行規則13条1項1号チが17条書面に返済期間,返済金額等の記載をすることを求めた趣旨・目的は,これらの記載により,借主が自己の債務の状況を認識し,返済計画を立てることを容易にすることにあると解される。リボルビング方式の貸付けがされた場合において,個々の貸付けの時点で,上記の記載に代えて次回の最低返済額及びその返済期日のみが記載された書面が17条書面として交付されても,上記の趣旨・目的が十全に果たされるものではないことは明らかである反面,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をすることは可能であり,かつ,その記載があれば,借主は,個々の借入れの都度,今後,追加借入れをしないで,最低返済額を毎月の返済期日に返済していった場合,いつ残元利金が完済になるのかを把握することができ,完済までの期間の長さ等によって,自己の負担している債務の重さを認識し,漫然と借入れを繰り返すことを避けることができるのであるから,これを記載することが上記の趣旨・目的に沿うものであることは,平成17年判決の言渡し日以前であっても貸金業者において認識し得たというべきである。

そして,平成17年判決が言い渡される前に,下級審の裁判例や学説において,リボルビング方式の貸付けについては,17条書面として交付する書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がなくても貸金業法43条1項の適用があるとの見解を採用するものが多数を占めていたとはいえないこと,上記の見解が貸金業法の立法に関与した者によって明確に示されていたわけでもないことは,当裁判所に顕著である。

上記事情の下では,監督官庁による通達や事務ガイドラインにおいて,リボルビング方式の貸付けについては,必ずしも貸金業法17条1項各号に掲げる事項全てを17条書面として交付する書面に記載しなくてもよいと理解し得ないではない記載があったとしても,貸金業者が,リボルビング方式の貸付けにつき,17条書面として交付する書面には,次回の最低返済額とその返済期日の記載があれば足り,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がなくても貸金業法43条1項の適用が否定されるものではないとの認識を有するに至ったことがやむを得ないということはできない。

そうすると,リボルビング方式の貸付けについて,貸金業者が17条書面として交付する書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合は,平成17年判決の言渡し日以前であっても,当該貸金業者が制限超過部分の受領につき貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有することに平成19年判決の判示する特段の事情があるということはできず,当該貸金業者は,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。

(2)これを本件についてみると,前記事実関係によれば,本件取引において17条書面として上告人に交付された各書面には,平成13年10月までは,次回の最低返済額とその返済期日の記載があったにとどまり,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がなかったというのであるから,被上告人において平成19年判決の判示する特段の事情があるということはできず,被上告人は,この時期までに本件取引から発生した過払金の取得につき悪意の受益者であると推定されるものというべきであり,この推定を覆すべき事情は見当たらない。

そして,同年11月以降は,本件各取引において17条書面として上告人に交付された各書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がされるようになったが,それより前から本件取引は継続して過払の状態となり貸金債務は存在していなかったというのであるから,同月以降は,利息が発生する余地はなく,この時期にされた制限超過部分の支払につき貸金業法43条1項を適用してこれを有効な利息の支払とみなすことができないことは明らかである。そうすると,本件取引につき,同月以降,17条書面として交付された書面に上記の記載があったとしても,被上告人がそれまでに発生した過払金の取得につき悪意の受益者である以上,この時期に発生した過払金の取得についても悪意の受益者であることを否定することはできない。

なお,記録によれば,同月より前の一時期,被上告人が確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がされた書面を17条書面として上告人に複数回交付していたことがうかがわれるが,このような事実があったとしても,上記の結論は左右されない。

よって,被上告人は,本件取引における過払金の取得について民法704条の「悪意の受益者」であるというべきである。

この判例も,平成23年12月1日付で言い渡されたCFJに対する判決(最一小判平成23年12月1日・平成23年(受)第307号)及びプロミスに対する判決(最一小判平成23年12月1日平成23年(受)第407号)と同様の判断をしています。

つまり,リボルビング方式の貸付においても返済期間や返済回数等の記載に準ずる記載が必要であることは,平成17年判決(最一小判平成17年12月15日)言渡し日以前であっても認識し得たのだから,みなし弁済が適用されると認識したとしてもやむを得ないといえるような特段の事情はなく,制限超過部分の利息を受領した以上,悪意の受益者と推定されると判断したのです。

詳しい解説については,CFJに対する判決(最一小判平成23年12月1日・平成23年(受)第307号)の解説ページをご覧ください。。

最一小判平成23年12月15日の注意点

上記判例は,アコムが返済期間等の記載をするようになったのは,平成13年10月以降であると認定しています。つまり,平成13年10月までみなし弁済の適用要件を満たしていなかったと認定しているのです。

もっとも,この認定は,上記判例においても「本件各取引において17条書面として上告人に交付された各書面」とあるように,事例判断です。

つまり,それぞれの取引の内容に応じて判断されるものであり,一般的に,アコムが平成13年10月まではみなし弁済の要件を満たしていなかった,とまでは言えないということです。

また,この判決の事例は,平成13年9月までの時点ですでに過払い状態になっていた事例ですので,同月以降に過払いとなった場合のことについては触れられていません。その点も注意が必要でしょう。

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