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過払い金返還請求

CFJに対する最一小判平成23年12月1日(平成23年(受)第307号)

リボルビング方式貸付において17条書面として交付する書面に返済期間・返済金額に準ずる記載がない場合は,平成17年判決以前でも特段の事情があるとはいえないから,CFJ(旧ディック等)は悪意の受益者であるとした判例として,最高裁判所第一小法廷平成23年12月1日判決(平成23年(受)第307号)があります。ここでは,この判決について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

平成23年12月の3つの判例

過払い金利息を付けて請求できるか,つまり,貸金業者が悪意の受益者に当たるかという論点について,最高裁判所第一小法廷によって平成23年12月になされた3つの判例があります。

すなわち,3つの判例とは,CFJに対する最一小判平成23年12月1日・平成23年(受)第307号,プロミスに対する最一小判平成23年12月1日・平成23年(受)第407号アコムに対する最一小判平成23年12月15日です。

この3つの判例は,それぞれ貸金業者はCFJ・プロミス・アコムと異なっていますが,いずれもリボルビング方式貸付の場合が問題となっており,基本的な判断の枠組みは同じです。

また,結論として,いずれの判決も,それぞれの貸金業者について悪意の受益者であると判断をしています。

このうちの,CFJに対する判決,最高裁判所第一小法廷平成23年12月1日(平成23年(受)第307号)判決(最一小判平成23年12月1日・平成23年(受)第307号)について,ご説明いたします。

最一小判平成23年12月1日・平成23年(受)第307号

最一小判平成23年12月1日・平成23年(受)第307号は,以下のとおり判示しています(以下の引用は抜粋。)。

(1)貸金業法17条1項6号及び貸金業法施行規則13条1項1号チが17条書面に返済期間,返済金額等の記載をすることを求めた趣旨・目的は,これらの記載により,借主が自己の債務の状況を認識し,返済計画を立てることを容易にすることにあると解される。リボルビング方式の貸付けがされた場合において,個々の貸付けの時点で,上記の記載に代えて次回の最低返済額及びその返済期日のみが記載された書面が17条書面として交付されても,上記の趣旨・目的が十全に果たされるものではないことは明らかである反面,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をすることは可能であり,かつ,その記載があれば,借主は,個々の借入れの都度,今後,追加借入れをしないで,最低返済額を毎月の返済期日に返済していった場合,いつ残元利金が完済になるのかを把握することができ,完済までの期間の長さ等によって,自己の負担している債務の重さを認識し,漫然と借入れを繰り返すことを避けることができるのであるから,これを記載することが上記の趣旨・目的に沿うものであることは,平成17年判決の言渡し日以前であっても貸金業者において認識し得たというべきである。

そして,平成17年判決が言い渡される前に,下級審の裁判例や学説において,リボルビング方式の貸付けについては,17条書面として交付する書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がなくても貸金業法43条1項の適用があるとの見解を採用するものが多数を占めていたとはいえないこと,上記の見解が貸金業法の立法に関与した者によって明確に示されていたわけでもないことは,当裁判所に顕著である。

上記事情の下では,監督官庁による通達や事務ガイドラインにおいて,リボルビング方式の貸付けについては,必ずしも貸金業法17条1項各号に掲げる事項全てを17条書面として交付する書面に記載しなくてもよいと理解し得ないではない記載があったとしても,貸金業者が,リボルビング方式の貸付けにつき,17条書面として交付する書面には,次回の最低返済額とその返済期日の記載があれば足り,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がなくても貸金業法43条1項の適用が否定されるものではないとの認識を有するに至ったことがやむを得ないということはできない。

そうすると,リボルビング方式の貸付けについて,貸金業者が17条書面として交付する書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合は,平成17年判決の言渡し日以前であっても,当該貸金業者が制限超過部分の受領につき貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有することに平成19年判決の判示する特段の事情があるということはできず,当該貸金業者は,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。

(2)これを本件についてみると,前記事実関係によれば,本件各取引において17条書面として上告人に交付された各書面には,平成16年9月までは,次回の最低返済額とその返済期日の記載があったにとどまり,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がなかったというのであるから,被上告人又はAにおいて平成19年判決の判示する特段の事情があるということはできず,被上告人及びAは,この時期までに本件各取引から発生した過払金の取得につき悪意の受益者であると推定されるものというべきであり,この推定を覆すべき事情は見当たらない。

そして,同年10月以降は,本件各取引において17条書面として上告人に交付された各書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がされるようになったが,それより前から本件各取引は継続して過払の状態となり貸金債務は存在していなかったというのであるから,同月以降は,利息が発生する余地はなく,この時期にされた制限超過部分の支払につき貸金業法43条1項を適用してこれを有効な利息の支払とみなすことができないことは明らかである。そうすると,本件各取引につき,同月以降,17条書面として交付された書面に上記の記載があったとしても,被上告人がそれまでに発生した過払金の取得につき悪意の受益者である以上,この時期に発生した過払金の取得についても悪意の受益者であることを否定することはできない。

よって,被上告人は,本件各取引における過払金の取得について民法704条の「悪意の受益者」であるというべきである。

最二小判平成19年7月13日(民集61巻5号1980頁)等が判示したとおり,「貸金業者が制限超過部分を利息債務の弁済として受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の『悪意の受益者』であると推定される」ことになります。

つまり,ここでいう「特段の事情」がない限り,貸金業者は,みなし弁済の適用なく制限超過部分を受領したら,悪意の受益者であるということです。

最一小判平成23年12月1日は,この「特段の事情」があったといえるかどうかが争点となっています。

具体的にいうと,リボルビング方式の貸付の場合には,みなし弁済の要件の1つである17条書面に記載しなければならないとされる「返済期間及び返済回数」や各回の「返済金額」をあらかじめ定めることができません。

そのため,貸金業者は,「返済期間及び返済回数」や各回の「返済金額」を記載していなくても,それ以外の所定の記載事項さえ記載していれば,17条書面といえると主張していました。

この点については,最一小判平成17年12月15日が,「返済期間及び返済回数」や各回の「返済金額」を記載することができないとしても,それらに準ずる記載をしていなければ17条書面とはいえないという判断を下しています。

この判決が,前記引用中にある「平成17年判決」です。

したがって,返済期間等に準ずる記載がない以上,みなし弁済は成立しないことになります。

しかし,少なくとも,平成17年判決が言い渡されるまでは,そのように返済期間等の記載に準ずる記載が必要であるという見解が確定していたわけではありません。

そこで,貸金業者は,リボルビング方式の貸付の場合には,返済期間等の記載が不要であるとか,次回の最低返済額とその返済期日の記載のみで足りるという考え方や学説もあったのだから,少なくとも平成17年判決言い渡しの日までは,そういう学説等を信じて返済期間等の記載をしていなかったとしてもやむを得ないという主張をするようになりました。

つまり,平成17年判決言渡しの日までは返済期間等の記載がなくても「みなし弁済の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情がある」という主張をしていたということです。

これが,最一小判平成23年12月1日の争点ですが,同判決は,平成17年判決前であっても,返済期間等の記載が不要であるとか,次回の最低返済額とその返済期日の記載のみで足りるという考え方が多数であったわけではないから,返済期間等の記載がなくてもみなし弁済が適用さえると認識したとしてもやむを得ないといえるような特段の事情はないと判断しました。

その上で,CFJは,平成16年9月までは,17条書面として交付した書面に次回の最低返済額とその返済期日の記載しかしていなかったことを認定し,この時期までに発生した過払い金について悪意の受益者となると判断をしたのです。

なお,この判決の事例では,平成16年9月以前にすでに過払い状態になっていた事例のようです。

そのため,同年10月以降は,借金がない以上借金の利息が発生することすらないのですから,そもそもみなし弁済も問題とならないので,「特段の事情」の問題も発生しないということになります。

最一小判平成23年12月1日の注意点

上記判例は,CFJが,平成16年9月までみなし弁済の適用要件を満たしていなかったことを認定しています。

もっとも,この認定は,上記判例においても「本件各取引において17条書面として上告人に交付された各書面」とあるように,事例判断です。

つまり,それぞれの取引の内容に応じて判断されるものであり,一般的に,CFJが平成16年9月まではみなし弁済の要件を満たしていなかった,とまでは言えないということです。

また,上記判例の事例では,この平成16年9月以前の時点ですでに過払いの状態となっていたため,平成16年9月以降平成17年判決言い渡し日までの間にも残高が発生し,この期間の間にみなし弁済の適用が問題となった場合のことについては触れられていません。

したがって,平成16年9月以降平成17年判決言い渡し日までの間に残高が発生していた場合には,その期間における利息の受領について「特段の事情」があったのかが問題となってくるでしょう。

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