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過払い金返還請求

最高裁判所第二小法廷平成21年9月4日判決

過払い金の消滅時効の起算点と過払い金の利息の発生時期の問題について判断をした判例として,最高裁判所第二小法廷平成21年9月4日判決があります。ここでは,最高裁判所第二小法廷平成21年9月4日判決ついて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

過払い金の利息の発生時期

過払い金返還請求権も,法的には不当利得返還請求権ですから,貸金業者が悪意の受益者に当たる場合には,過払い金に利息を付して返還するように請求できます。

もっとも,仮に貸金業者が悪意の受益者に当たるとして,この過払金の利息どの時点から発生するのかというのは,また別の問題になってきます。

この問題については,個々の支払いによって過払い金が発生する都度,その時から過払い金に対して利息も発生するという考え方と,取引が終了した時から,その時点において発生した過払い金全体に対して利息も発生するという考え方があります。

この点,最一小判平成21年1月22日は,過払い金充当合意を含む基本契約に基づく取引における過払い金返還請求権の消滅時効は,取引終了時から進行するという判断をしました。

つまり,一連充当計算できる取引の場合,個々の支払いにより過払い金が発生する都度,個別に消滅時効が進行するというのではなく,取引が終了した時から,その時点において発生していた過払い金全体の消滅時効が進行するという判断をしたのです。

これに対しては,貸金業者から反論がなされました。どのような反論かというと,過払い金の消滅時効の起算点を取引終了時とするなら,過払い金の利息の発生時期も取引終了時からとすべきであるというものです。

つまり,過払い金の利息の発生時期と過払い金の消滅時効の起算点の整合性を問題とするという反論です。

最高裁判所第二小法廷平成21年9月4日判決(最二小判平成21年9月4日)は,この貸金業者側からの反論に対して答えたものとなっています。

最二小判平成21年9月4日

最二小判平成21年9月4日は,以下のとおり判示しています(一部抜粋)。

金銭消費貸借の借主が利息制限法1条1項所定の制限を超えて利息の支払を継続し,その制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生した場合において,貸主が悪意の受益者であるときは,貸主は,民法704条前段の規定に基づき,過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない(大審院昭和2年(オ)第195号同年12月26日判決・法律新聞2806号15頁参照)。このことは,金銭消費貸借が,貸主と借主との間で継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される旨の基本契約に基づくものであって,当該基本契約が過払金が発生した当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった場合でも,異なるところはないと解するのが相当である。

→ 上記判決の全文(裁判所HPから)

最二小判平成21年9月4日は,その前段において,かなり古い判例ですが大審院昭和2年12月26日判決を引用し,利息制限法所定の制限利率を超える利息を支払い続けた結果,過払い金が発生した場合には,その過払い金発生時から利息を支払わなければならないということを確認しています。

そして,その上で,過払い金充当合意が認められる継続的な金銭消費貸借取引,つまり,一連充当計算のできる取引の場合であっても,過払い金発生時から利息を支払わなければならないことに変わりはないという判断を示しました。

すなわち,前記の2つの考え方のうち,個々の支払いによって過払い金が発生する都度,その時から利息も発生するという考え方を採用したのです。

過払い金の消滅時効は,取引終了時からと解した方が,消滅する過払い金が少なくなるため,消費者に有利です。

他方,過払い金の利息は,過払い金発生時から個別に発生すると解した方が,期間が長くなり利息も大きくなるので,消費者に有利です。

つまり,最高裁判所は,前記最一小判平成21年1月22日では消滅時効の起算点は取引終了時とし,この最二小判平成21年9月4日では過払い金の利息の発生時期は個々の過払い金発生時とすることで,いずれの場合にも,消費者側に有利な判断をしているということがいえるのです(ただし,この前提となる,過払い金充当合意があるかどうかについては,最二小判平成20年1月18日などのように,さほど消費者に明らかに有利といえるような判断はしていません。)。

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