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自己破産

個人事業者・自営業者の自己破産において処分しなければならない財産とは?

自己破産をした場合,一定の財産を処分しなければなりません。この処分しなければならない財産には,在庫・原材料,機械・設備,売掛金などの事業用資産・財産も含まれます。ただし,個人事業主・自営業者の自己破産であっても,自由財産は認められます。自由財産に該当する財産は,自己破産をしても処分しなくてよいものとされています。

ここでは,この個人事業者・自営業者の自己破産において処分しなければならない財産について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

自己破産における財産の処分

自己破産をした場合,裁判所から免責の許可を受けることによって,借金など債務の支払いは免責されますが,債務者の方が有している財産は処分が必要です。

破産手続が開始されると,債務者の方が有している財産は「破産財団」に組み入れられ,裁判所によって選任された破産管財人が管理・処分することになります。

この破産財団に組み入れられるのは,原則として,「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産」です(破産法34条1項)。

とはいえ,個人破産の場合は,全財産を処分しなければならないというわけではありません。

自己破産後の生活再建のために,一定の財産は自己破産をしても処分しなくても良いことになっています。この自己破産をしても処分しなくてよい財産のことを「自由財産」といいます。

したがって,自己破産において処分しなければならない財産は「自由財産に該当しない財産」であるということになります。

>> 自己破産において処分しなければならない財産とは?

個人事業者・自営業者の自己破産において処分が問題となる財産

自己破産において処分しなければならないのは「自由財産に該当しない財産」であるという点は,非事業者であっても個人事業主・自営業者の方であっても同じです。

ただし,個人事業者・自営業者の方の場合は,非事業者と異なり,生活に必要な財産だけでなく,事業用の資産・財産もあるはずです。

個人事業主・自営業者の自己破産において問題となるのは,これら事業用の資産・財産も処分されるのかという点でしょう。

例えば,事業用の資産・財産としては,以下のようなものが考えられます(これらのみに限るわけではありません。)。

  • 機械・設備
  • 什器・備品
  • パソコン
  • 工具類
  • 商品在庫・原材料
  • 自動車・バイク・運搬車両
  • 営業所・店舗・倉庫・工場などの所有不動産
  • 売掛金・貸付金
  • 事業保証金・営業保証金
  • 事業用の保険
  • 営業所・店舗・倉庫・工場などの賃借不動産の敷金
  • 有価証券
  • 出資金

これら事業用の資産・財産も,自由財産に該当しない限り,処分をしなければなりません。

したがって,自己破産後も個人事業・自営業を継続することを考えている場合には,これら事業用の資産・財産(自由財産となるものを除く。)を処分されても継続可能かどうかを検討しておく必要があります。

また,上記のような個々の資産・財産ではなく,事業・営業そのものに価値がある場合には,事業譲渡等によって,その事業・営業そのものが換価されることもあります。

その場合には,個人事業・自営業を継続することはできなくなります。

ただし,個人事業・自営業の事業・営業そのものに換価価値があると判断される場合は稀でしょう。

>> 個人事業主・自営業者の自己破産と非事業者の自己破産の違い

個人事業者・自営業者の自己破産における自由財産

個人事業主・自営業者の方の自己破産の場合でも,もちろん自由財産は認められます。非事業者と同じです。

破産法で認められている自由財産には,以下のものがあります。

差押禁止財産に関し,個人事業者・自営業者の方の場合に独特なものとして,以下のものがあります。

  • 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具,肥料,労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
  • 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採補又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具,えさ及び稚魚その他これに類する水産物
  • 技術者,職人,労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
  • 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの

これら農業・漁業・技術者等の事業者が業務を営むために必要不可欠な器具・道具・原料等は差押禁止財産となります。したがって,自己破産においても処分しなくてよい自由財産として扱われます。

また,東京地方裁判所立川支部を含む。)では,以下の財産についても換価処分しない(自由財産として扱う)運用がとられています(裁判所によって運用が異なります。)。

これら以外の財産でも,裁判所によって自由財産の拡張が認められた財産や破産財団から放棄された財産は,自由財産として扱われます。

ただし,自由財産の拡張をするか,破産財団から放棄するかは,裁判所や破産管財人が判断することですので,自由財産の拡張を申し立てたからと言って,必ずしも認められるとは限りません。

自己破産後に個人事業・自営業を続けようとする場合には,何が自由財産となるのかも考慮に入れた上で,判断する必要があります。

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