債務整理の方法の1つに「自己破産」があります。ここでは,この自己破産をするとどのようなデメリットが生じてしまうのかについてご説明いたします。
自己破産のデメリット
自己破産の手続をすれば,免責の許可を受けることによって,それまでの借金の返済義務を免れることができます。
本来支払わなければならないものを,法律の力によって強制的に支払わなくてもよいことにするというのですから,かなり強力なメリットがあるといえます。債務整理の最終手段といってもよいでしょう。
しかし,これだけの効果を生ずるということは,同時に債権者には泣いてもらっているわけです。債務者側だけ何の負担もなく済むというのでは,債権者は誰も納得しないでしょう。
そのため,自己破産手続においては,債務者(破産者)にも,それ相応のデメリットが発生することは避けられません。
ただし,個人の自己破産においては,債権者間の平等のほかに,債務者の経済的更生を図るという目的もあります。そのため,自己破産によって債務者にデメリットが生ずるとはいっても,債務者の経済的更生を阻害するほどのデメリットが生じないように配慮はされています。
自己破産のデメリットとしては,以下のものが挙げられます。
- 生活必需品等を除く財産を処分しなければならない
- 自己破産をしたことが官報に公告される
- 破産手続中は公的な資格を使った仕事ができなくなる
- 破産手続中は住居を自由に移転できなくなる
- 破産手続中は郵便物が破産管財人によって調査される
- 免責不許可の場合,破産したことが市町村役場に通知される
- ブラックリスト(信用情報の事故情報)に10年間登録される
もっとも,財産の処分といっても,生活必需品等や廉価なものは処分しなくてもよいことになっています。現金であれば,99万円までは処分しないで済みます。
官報公告は,一般の方はあまり見ないでしょう。そのため,誰にでも知られてしまうというおそれは少ないと思います。
制限される資格は限られています。よく問題となるのは,保険外交員や警備員などです。ただし,自己破産の申立てから免責が許可されるまでの数か月間だけです。免責許可がなされると元に戻れます。
住居の制限は,移転先の身元がはっきりしていれば,裁判所の許可を得ることが比較的容易です。郵便物も,破産管財人が中を確認したら返してもらえます。これらも,破産手続の間だけです。
市町村役場への通知は,免責が不許可になった場合にだけなされるというのが現在の運用のようです。したがって,そうでない限りはあまり心配することはないでしょう。
ブラックリストへの登録は,やむを得ません。ただし,ブラックリスト登録は,任意整理や個人再生でも同様です。自己破産の場合は期間が若干長いという違いしかありません。
こうしてみると,(特に財産の無い方には)自己破産のデメリットは,借金の返済義務を免れることができるというメリットに比べれば小さいものだということがお分かりいただけるかと思います。
実際問題として,一般に多くの方が不安に思っている自己破産の本当のデメリットは,「世間の目」や「世間体が悪い」などではないかと思います。
確かにそのような面もありますし,誰でも彼でも自己破産しろと言うつもりもないのですが,しかし,それのために自己破産の大きなメリットを享受せずに債務整理を諦めて苦しい生活を続けていくというのは,実にもったいないような気がします。
自己破産のデメリットに対する誤解
上記のほかに,自己破産をすると,選挙権がなくなるだとか,自宅に管財人がきて家財道具が没収されるだとか,債権者から嫌がらせをうけるだとか,いろいろなことが言われてますが,これらはすべて誤解です。
自己破産をしても選挙権がなくなるわけはありません。前記のとおり,生活必需品は処分が不要ですから,一般的な家財道具を没収されることもあり得ませんし,債権者から嫌がらせを受けることもほとんどないでしょう。金融機関などは,債権者集会に出席すらしないのが通常です。
資格制限,居住制限,郵便物の転送も破産手続が行われている間だけです。一生,制限されるはずもありません。
不安を払しょくするためには,自己破産に対する正しい理解が必要です。



